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ひょうご五国 食の秋色

 「爽やか」という言葉に長年、初夏のイメージを抱いていましたが、昔、取材先で「秋の季語」と教えられ驚いた経験があります。秋がくるたびに、このエピソードが思い出されます。
 さて、兵庫の四季の中で、最も活気づくのが、秋ではないかと思います。旧五国からなり、広大な面積を誇る兵庫では、全国に名を馳せる多彩な食材が、この時期、県内外に出荷されます。
 ド・ローカルが、魅力を放つ兵庫の秋の味覚を紹介します。

全国ブランド 丹波篠山黒枝豆

丹波篠山市

 全国ブランドとなっている丹波篠山市特産の「丹波篠山黒枝豆」の販売が10月5日に解禁される。一般的な枝豆に比べ、大粒で甘みが強いのが特徴。例年、市内各地の販売所や収穫を体験できる農園が多くの観光客でにぎわう。
 「丹波篠山黒枝豆」は、おせち料理の煮豆に使われる高級品種「丹波黒」を完熟前に、枝豆用に収穫した。10月初旬から約1カ月が旬の「秋の味覚」。グルメ漫画「美味しんぼ」に登場し、全国的に知られるようになった。同市は2006年から販売解禁日を設け、PRしている。市の担当者によると、今年は平年並みの出来という。

(2022年10月1日神戸新聞朝刊)

マツタケ 1本95万円 丹波篠山で初競り

初競りで95万円で落札され丹波篠山産マツタケ

 香りの高さで知られ、秋の味覚の王者ともいえる丹波篠山産マツタケの初競りが9月27日、丹波篠山市郡家の卸売市場「丹波篠山市場」であった。地元の老舗料理旅館「近又(きんまた)」が1本(120グラム)を95万円で落札。縁起物のご祝儀相場で、1キロ換算約792万円の高値となった。
 入荷したのは、市西部の山で採れたマツタケで、長さ約17センチ、かさの直径約6センチ。市場関係者は「大きさ、重さとも申し分ない。近年は全国的に不作が続いているが、今年は期待できるかも」と話す。
 競りでは15万円、20万円と、どんどん値が上がり、「近又」の調理課長・清水龍二さん(31)が落札した。「競り落とせてほっとした。日本一ともいわれる丹波マツタケ。出たばかりの香りの良さを楽しんでもらえたら」と清水さん。旅館では焼きマツタケなどに調理し、提供するという。
 丹波篠山産マツタケは、近世には幕府へ献上されていた名産品。香りや味、歯ごたえの良さで知られている。

(2022年9月27日付神戸新聞夕刊) 

 「黒枝豆」「マツタケ」「丹波栗」=写真上=の丹波3連発いかがでしたか? 兵庫五国の中でも丹波地域に全国ブランドが多いですよね。秋の味覚の代表格は丹波以外にもまだまだあるんです。
 それではこちらをどうぞ!

秋の美味 1匹50万円 「香住ガニ」初競り

鮮やかな紅色の「香住ガニ」=香美町、香住漁港西港

 日本海のベニズワイガニ漁が解禁され、関西で唯一水揚げされる兵庫県香美町の香住漁港で5日朝、今季の初競りがあった。
 「香住ガニ」としてブランド化され、お得な「訳あり品」は同町のふるさと納税返礼品でも1番人気のベニズワイガニ。底引き網漁のズワイガニよりも深い水深帯に生息し、餌入りのかごを連ねて沈め、誘い込んだカニをかごごと引き揚げる。
 1日の漁解禁に合わせ、大型船1隻と小型船8隻が香住沖50~100キロまで進み、水深1キロ前後にかごを投入。例年並みの29トンを水揚げし、前年比2・8倍の約3100万円を売り上げた。1匹の最高額は前年と同じ50万円だった。
 県ベニカゴ協会の福本好孝会長(60)は「台風が来る前に初競りにかけられてよかった。ボイル、鍋、焼きとシンプルに食べるのが一番」と話した。

(2022年9月6日神戸新聞)

 秋の味覚といいますか、初秋の味覚ですが、昨今、人気急上昇の「イチジク」を紹介します。

川西産「空飛ぶイチジク」人気 早朝収穫→東京空輸→当日店頭へ

(日本航空提供)

 川西市特産のイチジクが地元以外でも存在感を高めている。傷みやすく日持ちしないことから元々は阪神間でしか流通していなかったが、早朝に収穫した果実を空輸することで、その日のうちに約500キロ離れた東京都の店頭にも並ぶように。新鮮な「空飛ぶイチジク」が人気を集める中、新型コロナウイルス禍で旅客が激減している航空業界は、生鮮食品の輸送に力を入れている。
 東京・銀座の洋菓子店「キルフェボン」グランメゾン銀座店。8月中旬から、チョコレートクリームの上に川西産イチジクをふんだんにのせたタルトが登場した。同店マネジャー根木瞳さんは「柔らかい果肉と濃厚な甘みが特徴。朝一番の飛行機で届くので何より新鮮です」と笑顔を見せた。
 青山店との両店で期間限定販売され、みずみずしい果実が特に女性の人気を集めたという。実際に銀座で購入した会社員の女性(37)は「採れたての味が楽しめるなんて」と目を輝かせた。
 川西市は2016年、「朝採りの恵み」の愛称でブランド化。19年からは日本航空(JAL)からの呼びかけで空輸を始めた。東京での人気を受け、キルフェボンの大阪の店舗でも期間限定で販売されるなど、知名度が広がっている。市担当者は「完熟した一番おいしい状態で収穫するので、本来の甘みを楽しんでもらえる」と胸を張る。
 一方、コロナ禍で苦境が続く航空会社では、生鮮食品の輸送が新たな収益の柱として注目されている。
 数年前から生鮮食品の空輸を始めたJAL。果実にフィットする特殊なトレーに収容することで果実を衝撃から守り、遠方への空輸を実現させた。
 川西産イチジクの件は元々、空港のあるエリアへの地域貢献として提案したが、同社担当者は「旅行客の回復が見通せない中、新しい事業として育てていけたら」と期待する。
 また、JAL子会社のジェイエアと関西エアポートは20年秋から大阪(伊丹)空港で、各地の特産品を販売する催しを始めた。朝に仕入れた生鮮食品をその日のうちに旅客便で運び、到着地で販売している。初回が好評だったため、その後も定期的に開くようになったという。
 

(2022年9月2日神戸新聞夕刊)

川西産イチジクをたっぷりのせたタルト=東京都中央区銀座

好天恵まれ 実りの秋 神戸のナシ園

神戸市西区神出町小束野、神戸観光なし園

 秋の味覚、ナシの収穫が最盛期を迎えた。「神戸観光なし園」(神戸市西区)では、薄い黄緑色の実がたわわに育ち、早くも秋の気配を漂わせている。同園は約1・3ヘクタールの敷地で約650本の木を栽培している。収穫できるのはジューシーな「豊水」が中心で、上品な甘みの「幸水」や「新高(にいたか)」などを直売している。同園の藤中義彦さん(47)は「今年は好天に恵まれ、ここ10年で1、2番のでき。糖度が高くて味も良い」と満足げに話した。

(2022年8月27日神戸新聞朝刊)

 隣県の鳥取県のナシはとても有名ですが、神戸のナシはあまり知られていません。神戸観光なし園のある神戸市西区は、実は県内屈指の農業地域なんです。神戸旬菜というブランドの野菜のほか、果樹栽培もさかんです。ナシのほか、カキ(柿)、ブドウを育てる農家も数多くあります。

<ド・ローカル>
 1993年入社。今回ご紹介した黒枝豆、マツタケ、丹波栗、香住ガニ、イチジク、ナシは、どれも甲乙つけがたい秋の一品です。中でも〝丹波御三家〟は、知名度、味とも群を抜いています。私は今年も採れたての黒枝豆をあてに、ビールいただきました!

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