見出し画像

どこにあったっけ?レトロな丸型郵便ポスト

当然、前からそこにあったはずなのに、ふとその存在に気付くことがあります。赤い郵便ポストです。昨年(2021年)は丸型ポストが誕生して120年の節目を迎え、注目されました。店先や駅前に赤い円筒形があるだけで、街の雰囲気も変えてしまします。そんな丸型ポストを播州人3号が紹介します。

四角い箱型が圧倒的に多いのですが、丸型の方が何となくしっくりきます。ただ、こんなにも少なくなっているとは知りませんでした。
「懐かしいもの」は「珍しいもの」になっていました。

丸型ポスト巡り散策
尼崎、伊丹、川西の郵便局が「フェス」
3市で12本 全部回れば記念品贈呈

 レトロ感たっぷりの「丸型」はどこに―!?。半世紀前に製造を終えた赤い丸型郵便ポスト。尼崎、伊丹、川西の3市では今も計12本が現役で使われており、現在、全部を巡り歩けばプレゼントがもらえるイベントが開かれている。3市の郵便局でつくる実行委員会が企画。今年10月には丸型ポストが誕生して120年の節目を迎えるため、尼崎、川西市で記念式典も予定されている。
 イベント名は「丸型ポストフェスティバル2021 in尼崎、伊丹、川西」で、10月末まで実施。手紙文化の振興を図ろうと、2015年から各地の郵便局関係者や有志が開催している。7回目となる今回は、尼崎の尼崎塚口六郵便局、伊丹の伊丹桜ケ丘郵便局、川西の川西久代郵便局が名乗りを上げた。
 「真ちゅう製の丸型は、手紙を投函とうかんするときの『ポトン』という音がよく聞こえるので、味わい深い」。担当の川西久代郵便局長は丸型の魅力をこう語る。ファンも多く、全国では撤去を惜しまれて観光地に移設されたものも少なくないという。
 日本郵便によると、丸型の製造は1901(明治34)年に始まり、第1号は東京・日本橋北詰に設置。70(昭和45)年を最後に製造は終了した。2000年代に入ると、郵便物が多様化し、丸型ポストの投函口に入らない郵便物が増加。専用封筒で切手を貼らずに投函できる「レターパック」など大型郵便物にも対応できるよう、四角いタイプへの切り替えが全国的に進んだ。丸型は現在、全体の2・4%に当たる約4千本超しか使われていないという。

(2021年7月5日付朝刊より)

全体のわずか3%以下です。丸型がかなりレアな存在であることが分かります。
製造が半世紀以上も前の1970年に終了していたということは、現存するものはすべて50年以上たっているということになります。


いつごろから箱型に移行したのでしょうか。
30年以上前ですが、既にこんな記事が見つかりました。

(1989年3月4日付朝刊より)

記事中の「チビっ子」という表現に時代を感じます。

丸型ポストがあるだけで「昭和な」感じを醸します。
そんな昔ながらの風情を演出するため、わざわざ設置した町がありました。

哀愁漂う丸型ポスト

 三田藩家老職を代々務めた九鬼家の住宅や詩人三好達治が幼少期を過ごした妙三寺など、中心街に近い三田町や屋敷町周辺には歴史の薫りが漂う。
 そんな散策の折、丸型と呼ばれる鉄製の高さ135センチの円柱状ポストに目が留まった。近年はめっきり減っているが、さらに進むと、1基、また1基と目についた。いずれも古いが、よく手入れをされている。
 三田郵便局に尋ねると、丸型は現在、市内に6基あり、5基が両町に集中。4年前には三田市の依頼で1基を最近の角型から変えた。市の担当者は「町歩きで昔ながらの風情を味わってもらうため、観光資源として注目した」と説明する。
 今や携帯電話のメールで気軽に思いをやりとりできる時代。しかし、肉筆でしか伝えられない気持ちもある。〝懐かしい顔〟を見ていると、遠方の母へ無性に手紙を出したくなった。

(2016年2月19日付朝刊より)

その姿は、林の中でも映えます。
使用はできませんが、「引退ポスト」として人気の撮影スポットになったようです。
言われてみれば、あのアニメ映画に出てきても不思議ではない雰囲気です。

丸型ポスト インスタ映え
「ジブリの映画みたい」と人気
加東市・播州清水寺

 まるでジブリの世界―。西国三十三所巡礼25番札所で日本遺産、播州清水寺(加東市平木)の境内にある郵便ポストが「インスタ映え」するとして静かな人気を呼んでいる。現在は使われておらず、その名も「引退ポスト」。昔ながらの丸型はレトロ感が漂い、どこかかわいらしさも。紅葉シーズンは特に映えるといい、同寺の関係者は「山上のおいしい空気を吸いながら撮影を楽しんで」と話している。
 引退ポストがあるのは本坊の南側。戦前からあり、当時は今の場所よりも20メートルほど下の山道近くに立っていたという。1955年ごろまでは〝現役〟で、郵便局員が2日に1回、郵便物を回収していた。
 その後、別の場所に新しいポストが設置されたため、古いポストは使われなくなり、いつしか倒れてしまった。郵便局の関係者から「鋳型のポストは珍しいですよ」と聞いた住職(81)が20年前、今の場所に置いた。
 3年ほど前から「ポストの場所を知りたい」と観光客らが訪ねてくるようになった。次第に写真投稿サイト、インスタグラムで「引退ポスト」の名で話題になるように。今春以降は、新型コロナウイルス感染症の影響下でも来訪者が絶えず、投稿は増え続ける。
 インスタでは「ジブリの映画に出てきそう」「ノスタルジック」といったコメントも。「投函とうかんしたらあの世にいる大切な人に配達してくれそう…」との内容もあり、ポストを包み込む森は、人を非日常の世界へ誘う空間となっている。
 同寺によると、ポスト周辺のモミジは段階的に色が変わり、「グラデーションが美しい」とか。「広い境内はお参り以外も楽しめる。四季の移り変わりを味わってもらいたい」としている。

(2020年10月20日付朝刊より)

ポストの主流は箱型ですが、イメージとしてはまだまだ円筒タイプではないでしょうか。
そんな特徴を活用した看板です。そこに郵便局があることを強くアピールします。

 姫路市網干区和久、網干駅前郵便局が入居する駅前ビルで、らせん階段(高さ約十二メートル)の外壁が黄緑から赤に塗り替えられ、「巨大ポスト?」と話題を集めている。
 同ビルは22年前に建てられ、階段の外壁がさびてきたため、局長が「親しまれる郵便局に」とポスト風に塗り替えることを提案した。
 2月末から約20日間かけて“お色直し”。〒マークもあしらった。写真に収める人も。「待ち合わせの目印にも使って」と局長。

(2005年4月8日付朝刊より)

<播州人3号>
1997年入社。丸型ポストの写真を眺めていると、投函口の小ささに気付きました。大型の郵便物を送る際はどうしていたのでしょうか。別の記事で、フリーマーケットアプリの利用者が差し出しやすくするため、投函口の高さを7センチに広げた新型ポストのニュースがありました。利用者側の都合も丸型ポストを減少させた一因かもしれません。

#郵便ポスト #丸型ポスト #レトロなポスト #昭和 #ジブリ