PCR、SDGs、NOx、RCEP…。読み方も分かります?! アルファベットの組み合わせ
新聞には略語が多く登場します。「道交法(道路交通法)」や「外為法(外国為替および外国貿易法)」などの短縮した形のほか、IT(情報技術、Information Technology)やAI(人工知能 Artificial Intelligence)などアルファベット略語があります。いずれも限られた紙面を有効に使い、見出しで簡潔に伝えるためです。紙面でよく見かけるアルファベットの組み合わせ略語を播州人3号が紹介します。
略語を紙面で使うときは、最初の登場時には「全表記(略語)」を掲載し、2回目以降や見出しには略語とします。
ただし例外もあります。この言葉がそうです。
一時は紙面に載ってない日がなかったのではないでしょうか。
「PCR(ピー・シー・ア-ル)」です。
調べてみると、2021年は約1000件、20年は約1500件、記事や見出しに使われていました。
新型コロナをきっかけに使用されだしたと思っていましたが、実は10年以上前にも頻繁に使われた時期がありました。
神戸の新型インフル
初確認前に拡大か
4月末 「季節性」異例の急増
「新型インフルエンザ」でした。
当時は「PCRというウイルスの詳細検査」や「患者から採取したウイルスを遺伝子レベルで調べるPCR検査」など説明付きで使われまていました。
この春、紙面での略語の使用にちょっとした変化がありました。
気付かれた方はかなりの新聞通です。
ヒントは銀行などに置かれた「ATM(エー・ティー・エム)」です。
架空請求詐欺
50万円の被害
姫路の81歳男性
これまでの書き方は原則通り最初に「現金自動預払機(ATM)」とし、2度目以降は「ATM」を使っていましたが、初出から「ATM」が使えるようになりました(そもそも「現金自動預払機」を使う人がいないとい思いますが…)。
神戸新聞が使う略語については共同通信社発行の「記者ハンドブック 新聞用字用語集」を基に判断してます。
記者やデスクはこのハンドブックを手元に置いて原稿を書いたり、チェックしたりします。
この春6年ぶりの改訂があり、略語の使い方が少し変わりました。
ツイッターやフェイスブックなどの「SNS」も毎日のように紙面に登場する言葉ですが、こちらは「交流サイト(SNS)」が正式な使用法になりました。
これまでは「会員制交流サイト(SNS)」と表記していましたが、「交流サイト(SNS)」と、ちょっと身軽になりました。
こちらの略語も紙面登場回数が急上昇しています。
SDGs取り組み
明石市が助成
100万円上限に経費全額
市内団体の申請受け付け
「SDGs」です。「持続可能な開発目標(SDGs)」と使います。
読み方に注意が必要です。「エス・ディー・ジーズ」が正解で、「エス・ディー・ジー・エス」ではありません。
紙面や電子版「神戸新聞NEXT」には文字を載せるので、テレビ原稿のように読み方はそれほど気にしませんが、音声コンテンツ「めっちゃ兵庫」などでは読み方の確認も必要です。
翌日朝刊の扱いなどを検討する編集局の会議では、各デスクが担当する原稿について説明しますが、その場になって読み方が怪しくなるときがあります。
「RCEP」がそうでした。「地域的な包括経済連携」の略語です。
そのまま読めば「アール・シー・イー・ピー」ですが、正解は「アールセップ」です。
「NOx(窒素酸化物)」は「ノックス」と読むのに、「NGO(非政府組織)」は「エヌゴー」ではなく「エヌ・ジー・オー」となるなど複雑です。
紙面に登場するアルファベット略語の中には、特例的に最初から日本語表記なしに使用できるものもあります。
DNA、FM、IT、NPO、Wi-Fiなどがそうです。
この春のハンドブック改訂では、初登場ながら、初回略語使用可の特例となったのが先ほどの「PCR(検査)」と「SIM(カード)」でした。
その判断基準は?と尋ねられると答えにくいのですが、「たいていの人が見て分かるかどうか」ということでしょうか。
<播州人3号>
1997年入社。職場に各部員の予定を書き込む白板があります。先日、ある同僚の夕方の訪問先の後に「NR」と記されており、見慣れぬ略語の意味についてほかのメンバーが頭をひねっていました。正解は「ノー・リターン」。出先から会社に戻らないという意味でした。書いた同僚によると「『直帰』は画数が多いため」。今では職場共通の略語になっています。