あなたはどの舞台で?オリンピアンも滑走した兵庫のスケートリンク
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あなたはどの舞台で?オリンピアンも滑走した兵庫のスケートリンク

神戸新聞公式「うっとこ兵庫」

北京冬季五輪が開幕し、銀盤上で熱い闘いが繰り広げられています。フィギュアスケートの華麗な演技の中継をみながら、「そういえば学生のころには」とか、「昔は後ろ向きにも滑れた」など、青春時代を振り返った方も多いのではないでしょうか。播州人3号が個性豊かな兵庫のスケートリンクをスーイ、スイっと紹介します。

初の銅メダルに輝いたフィギュア団体には、兵庫ゆかりの坂本花織選手(神戸市出身)と三浦璃来りく選手(宝塚市出身)が出場しました。

まずは前回、2018年の平昌五輪前の記事で、フィギュアスケートと兵庫との深い関係を振り返ります。

兵庫フィギュア一大勢力に
「神戸組」の系譜脈々と
上野さん母娘が礎 後進ら選手・指導者へ

 平昌冬季五輪は9日に開幕する。注目のフィギュアスケートには、女子の坂本花織(シスメックス、神戸野田高2年)、アイスダンスの村元哉中(木下グループ)の神戸出身2選手が出場。男子の田中刑事(倉敷芸術科学大大学院)も西宮市のリンクに練習拠点を置く。兵庫が日本フィギュア界の一大勢力となった背景には、戦前からの長い歴史がある。その系譜を、いま一度振り返りたい。

▼パイオニア 

 兵庫フィギュアスケート史をひもとくとき、故上野衣子さんの存在を抜きには語れない。黎明(れいめい)期にトップ選手として活躍。戦争の影響で中止された1940年札幌冬季五輪の〝幻の代表選手〟でもあった。
 戦後は指導者や日本女性初の国際審判として活躍、坂本の出身クラブでもある神戸フィギュアスケーティングクラブ(神戸ク)の創立(56年)にもかかわった。同クラブと、のちに枝分かれした神戸ポートアイランドフィギュアスケーティングクラブの会長を務めるなど、「神戸組」の礎を築いた。
 長女の平松(旧姓上野)純子さんは母の夢を受け継ぎ、60年スコーバレー、64年インスブルックの両冬季五輪に出場した。その後は母と同じ国際審判の道に進んだ。「母がいなければ、今の私はいない」。平松さんはそう述懐する。
 その後、神戸クからは五輪銅メダリストの高橋大輔さんを育てた長光歌子コーチ、坂本や三原舞依(シスメックス、県芦屋高3年)を指導する中野園子、グレアム充子両コーチらが巣立った。平昌冬季五輪の日本代表監督を担う小林芳子・日本スケート連盟フィギュア強化部長も神戸ク出身だ。上野さんは2013年に94歳で亡くなったが、後進たちが兵庫と日本のフィギュア界を支えている。

▼激震 

 苦難もあった。一つは時代の流れに翻弄(ほんろう)されたリンク環境だ。神戸クの発足時、本拠地は新開地にあった劇場「聚楽館(しゅうらくかん)」に併設されたスケート場だった。それが72年に閉鎖されると「阪神アイスパレス」(神戸市東灘区=閉鎖)へ。81年に国際規模のポートアイランドSC(同中央区)ができたが、秋から春先までの営業のため、夏場は通年使用できるリンクがある姫路や大阪を転々とした。
 95年の阪神・淡路大震災では同SCが被害を受けた。自転車で選手らの安否確認にあたった中野コーチは「スケートどころではなかった」と振り返る。自宅が全壊し、家族が下敷きになった選手がいた。クラブ員ではなかったが、神戸大スケート部の学生1人が犠牲になった。
 それでも、「滑りたい」という子どもたちの願いを受け、約1カ月後に姫路で練習を再開。神戸から通い続けた。

▼リンクの〝引力〟

 姫路のリンクが06年に閉鎖された後、さらに厳しい環境の中で育成に取り組んできた兵庫のフィギュア界に転機が訪れた。13年、悲願だった通年型リンク「ひょうご西宮アイスアリーナ」の開業だ。
 オープン当初は禁止されていた一般営業時のジャンプやスピンは、平松さんらの働きかけもあって平日のみ解禁された。坂本や三原は夏場も登校前から早朝練習に励み、加速度的な成長曲線を描いた。岡山県倉敷市出身の田中も大阪から同アリーナに拠点を移した。
 今、神戸の二つのクラブでは、50人超のジュニア選手たちが競い合う。この10年で、尼崎や西宮にもクラブができた。平松さんは言う。「やっぱりリンクのあるところは強い。リンクの引力です」
 上野さんや平松さんら先駆者が紡ぎ、中野コーチら指導者の熱意が支えてきた兵庫の系譜は、これからも若い力で刻まれていく。

(2018年2月9日付朝刊から)

戦前から続く歴史があり、兵庫に優秀な人材が集まっているのですね。
「リンクの引力」と表現されるように、そのためには舞台が必要でした。

兵庫から世界の氷上へ
西宮 通年スケート場
きょうオープン

 3日に開業する兵庫県内唯一の通年型アイススケートリンク「ひょうご西宮アイスアリーナ」のオープニングセレモニーが2日、西宮市鳴尾浜1の同施設で開かれた。関係者ら約200人が祝い、フィギュアスケートの高橋大輔選手(27)=関大大学院=らが滑り初めを行った。
 高いフィギュアスケート人気を背景に、競技選手の育成やスケート人口の拡大を目指し、一般社団法人「ひょうごスケート」(小林一雅理事長)が整備を計画。県が約4800平方メートルの敷地を無償提供し、運営はアイスリンク事業会社に委託する。建設費は約12億円。
 国際規格のメーンリンク(30×60メートル)とサブリンク(10×30メートル)の2面を備える。アイスホッケーやショートトラックなども楽しめ、年間約11万6千人の利用を見込む。
 この日の式典で、小林理事長は「このリンクからオリンピック選手を輩出したい」とあいさつ。五輪メダリストでもある高橋選手が華麗な演技を披露した後、県内の小中学生約40人と滑った。高橋選手は「練習場所ができ、兵庫からどんどん有望な選手が出てくるのでは」と笑顔を見せた。

(2013年8月3日付朝刊より)

滑り初めに訪れたのは、バンクーバー五輪のフィギュア男子銅メダルで、アイスダンスで活躍する高橋大輔選手でした。
高橋選手とペアを組むのは、こちらもオリンピアンで、神戸市出身の村元哉中選手です。

記事の中にありますが、西宮にスケートリンクができるまでは姫路市に唯一の通年施設がありました。
多くのスケーターに愛されましたが、2006年に休業が決まります。

姫路アリーナあす限り
県内唯一の通年リンク

 県内唯一の通年リンクとして、長年愛好家らに親しまれてきた「姫路アリーナ」(姫路市延末)が14日限りで、休業する。施設の老朽化が進み、改修などに多額の費用がかかる点などが休業の理由。再開時期は未定で、トリノ五輪での荒川静香選手の金メダルでフィギュアスケートが脚光を浴びる中での休業だけに、地元をはじめ利用者から惜しむ声が後を絶たない。
 「姫路アリーナ」は、1964年設立。冬季限定のリンクが多い中、通年で利用できるとあって、特に競技選手らの練習場や試合会場として欠かせない存在だった。
 要望を受け、夜間の貸し切り営業は6月末までの延長が決まったが、姫路独協大アイスホッケー部の主将(21)は「今後は、大阪や岡山まで行かなければならない。次の練習場が決まらない状態で本当に困っている」と頭を抱える。
 岡山県倉敷市の化学品メーカー「クラレ」が4月に実施したアンケートでは、将来の夢をスポーツ選手と答えた小学1年女子の約4割が「スケート・フィギュア」を選ぶなど人気は高い。
 小学1年からフィギュアを習っている高校1年の女子生徒(15)は「このリンクには思い出がたくさんあり、閉鎖は本当に悲しい」と肩を落とす。
 利用者有志によるインターネットのサイトでも「子どもたちが夢をあきらめなければならなくなる」などと、それぞれが氷に刻んだ思い出を振り返りつつ、営業存続を求めるメッセージが多数寄せられている。
 こうした声に、親会社ニチレイ(本社・東京)は「地元に愛していただいてありがたい」としつつも、「現実的な問題として、営業再開は難しい」と説明する。フィギュア人気についても「一時的なもの」と冷静な見方を崩していない。

(2006年5月13日付朝刊より)

家族や友達と滑るのなら冬場だけで十分ですが、氷上のアスリートにとっては年間を通じて練習できる場所が不可欠です。
休業後、再開を求めて1万人を超える署名が集まりましたが、かないませんでした。

姫路アリーナでは2003年放送のNHK朝の連続テレビ小説「てるてる家族」の収録があり、兵庫県出身の女優浅野ゆう子さんらが熱演したと記事にありました。

姫路市内にはもう一つスケートリンクがあります。
通年施設ではありませんが、こちらにはゴールドメダリストが訪れていました。イナバウアーの荒川静香さんです。

五輪金の舞い 小中生に伝授
スケート 荒川静香さん教室

 トリノ五輪金メダリストで、プロフィギュアスケーターの荒川静香さんを招いた「特別レッスン会」が7日、姫路市豊富町神谷の姫路セントラルパークであった。市内外から小中学生約90人が参加し、荒川さんのエキシビション(模範滑走)に見とれていた。
 市スケート協会が、市体育協会創立70周年を記念して企画。同パークで指導を受ける経験者に加え、初心者の子どもらも参加した。
 指導はレベルごとに3回あり、初心者は真っすぐ進む練習、中・上級者は高度なターンや回転ジャンプに挑戦した。
 荒川さんは手本を示し「上半身の力を抜いて、下半身で(滑りを)コントロールして」などと指導。リンク上で記念撮影して、レッスンを締めくくった。
 初心者として参加した女児(9)は「テレビで見ていた荒川選手に教えてもらえるなんて」。荒川さんは「とても素直に耳を傾けてくれた。スケートを楽しむ気持ちを持ち続けてほしい」と話した。

40年ほど前、姫路市の子供たちにとって冬の楽しみの一つはスケートでした。但馬地域にまでスキーに行くにはちょっと遠く、子供会の行事や友達同士でリンクに出掛けました。
貸し靴のひもを結んで立ち上がると、背が高くなったように感じ、日ごろ見ている景色とはちょっと違う世界が広がりました。

最近は、スケートに行ったという話を周りで聞くことが少なくなったと思っていましたが、リンク自体が減っているのですね。

リンクの数 ピーク時の4分の1

 文部科学省によると、全国のスケート場(学校施設を含む)は、1985年の940カ所をピークに減少し、2015年には4分の1以下の213カ所に。屋外も85年には486カ所(学校施設を除く)あったが、15年には約8割減の88カ所まで落ち込んだ。
 一方、フィギュアの競技人口はスピードスケートなどと異なり、寒冷地より都市部が多いとされる。通年営業の「ひょうご西宮アイスアリーナ」(西宮市)が13年にオープンし、平昌(ピョンチャン)五輪に出場した田中刑事選手や坂本花織選手が利用。今年12月には京都と大阪に屋内スケート場が2カ所新設されるなど、関西での人気は高まっている。

(2019年12月3日夕刊より)

大幅に減少していることが分かります。

神戸市の隣りの三木市にあったレジャー施設「グリーンピアみき」のアイススケートリンクも閉鎖された一つです。
「広さ約1800平方メートルで、自然に囲まれた屋外リンク。手すり付きで、初心者にも利用しやすい」と過去記事では説明されていました。
屋根がないため、天候の影響を受けやすく、雪などがリンクに積もると「除雪」のため開業時間が変更されることもあったようです。

現役の屋外リンクもあります。
氷を張る方法にも触れられています。

豊岡 スケート場
氷張り準備着々
円山川公苑

 豊岡市小島の円山川公苑のスケート場が23日にオープンするのを控え、リンクに氷を張る準備が着々と進んでいる。県内で唯一の屋外リンクで、円山川や周囲の山の景色を楽しみながら滑走できるのが魅力。初日にはオープニングフェスティバルを開き、初心者向けのレッスンなどを行う。
 氷を張る作業は、50メートルのプールにふたをして、マイナス約10度の不凍液を循環させている細いパイプを張り巡らせたアイスマットを敷き詰め、水をまいて凍らせる。作業員たちは毎日気温の下がる夜に、1時間ごとにホースで散水して氷の層を分厚くしていく。オープンの日までにアイスマットの上に厚さ5~6センチの氷を張らせる予定だ。
 昨年は季節外れの暖かい日が続き氷が解け出したため、開業以来初めてオープン日を延期したが、今年は順調に仕上がっているという。オープン日は利用料が無料になる優待券を配布。マスコットのシロクマくんが登場するという。

(2021年11月21日付朝刊より)

ユニークな「都市型」のスケートリンクもあります。
船を見ながら楽しめる海辺のスケート場です。

待ってたよ 氷上の滑走 神戸ハーバーランド

 神戸ハーバーランド(神戸市中央区)の高浜岸壁に、屋外アイススケートリンクが登場した。日没後はカラフルなライトアップもあり、神戸の夜景を背に、親子連れらが氷上の滑走を楽しんでいる。来年2月14日まで。
 2015年に開設された「umie(ウミエ)アイスマリーナ」。昨シーズンは新型コロナウイルスの感染拡大で中止に。今年はリンクの広さを500平方メートルに拡大し、オープンした。
 仲間と華麗な滑りを披露した西宮市の男性(30)は「抜群のロケーション。オープンを待っていた」と笑顔だった。

(2021年11月29日付朝刊より)

このほか兵庫県内では丹波市のピュアスポーツ柏原でもスケートが楽しめます。

フィギュアだけでなく、スピードスケートやアイスホッケー、カーリングなど氷上で競われる種目はまだまだあります。
北京での選手たちの活躍を見ながら、しばらく遠のいているリンクに足を運んでみませんか。

<播州人3号>
1997年入社。一般向けのスケートリンクでは傷んだ氷を整備する時間が設けられます。大型の製氷車が登場し、リンクをくまなく回ります。子供にとって再開が待ち遠しく、「整備終了」の放送と同時に氷上に駆け出します。おっちょこちょいはバランスを崩して転倒し、整備のためにまかれた水でびちょびちょになりました。お尻の部分が濡れたズボンをよくからかわれました。

#北京五輪 #スケート #フィギュア #坂本花織 #三浦璃来 #村元哉中 #姫路セントラルパーク #円山川公苑


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