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あなたの知らないコウノトリの豆知識、題して「コウノトリビア」5選

はじめまして。ジムニーです。赤ちゃんを運んでくる幸せの鳥、というイメージでおなじみのコウノトリさんが、実はとても神経質で、相性が合わなければ相手のコウノトリをくちばしで突き刺すほど気性が荒いことをご存じでしょうか。私は知りませんでした。今回はこうしたコウノトリにまつわる豆知識をご紹介します。

国内のコウノトリは1971年にいったん絶滅しましたが、最後の生息地となった兵庫県北部の豊岡市で保護増殖の取り組みが進み、2005年の初放鳥以降、17年に100羽、20年に200羽を超え、今年も61羽が巣立つなど8月末時点で263羽まで増えています。

コウノトリの敵はコウノトリ。親子の死闘も。

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 コウノトリは神経質で気性が荒い。サギなど他の鳥は気にしないが、自身の縄張りにコウノトリが入ってくると追い払い、お見合い相手でさえも相性が合わなければ攻撃するほどだ。特に繁殖時期には、巣に近づいた相手をくちばしで何度も突き刺すなど容赦ない。
 国内で46年ぶりに野外でのひなを巣立たせ、昨年7月に死んだ雌「J0228」は、成鳥になった息子「J0025」との縄張り争いが激化。孫に当たる幼鳥に襲い掛かり、息子と激しく戦う様子も目撃された。負傷して田んぼでうずくまっているところを保護されたが、肺に到達した刺し傷もあり、死んでしまった。

(2020年8月4日付朝刊)

私が初めてコウノトリを見たときに思わず出た言葉は、「でかっ、こわっ」でした。豊岡市内で道路の傍らに車を止めて上を見上げている人がいたので、目線の先を見ると、電柱の上にでかい鳥がたたずんでいました。思ったよりもでかかった。

羽を広げると2mほどあり、するどく長いくちばしに、歌舞伎の隈取りのような赤く縁取られた目。そんな威厳漂うお鳥様に見下ろされると結構怖いです。とはいえ人を襲うことはありません(今のところ)。くちばしも普段はエサをくわえるためのものです。

県立コウノトリの郷公園では、カップルになってもらうためにお見合いをさせていますが、万が一気の合わない同士だと大惨事になるので、ベテラン飼育員さんでも非常に気を遣うそうです。

愛称が無く、番号で呼ばれている。

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 見守る住民たちは「J0391とJ0294のペアのもとで元気な赤ちゃんが育ってる」といった会話を交わす。これだけ大事にされているのに愛称がない。不思議だ。
 他府県では愛称を募集する自治体もあるが、兵庫県では識別用の足輪の装着時に番号が割り振られるだけだ。200羽も名前を覚えられる自信はないが、なんとも味気ない―なんて思っていたが、実は愛情ゆえのこと。野生復帰事業を始めた当初、飼育員がコウノトリに「いつか野に帰す」と語り掛けた「コウノトリとの約束」と呼ばれる逸話があり、親しみを感じすぎないようにあえて愛称も付けなかったという。
 ちなみに、2002年8月5日に中国大陸から豊岡市に飛来し、5年ほど暮らして住民に親しまれた野生のコウノトリは、番号が付けられないため、飛来した日付から「ハチゴロウ」と名付けられた。

(2020年8月4日付朝刊より)

親しんでもらうために動物の愛称を募集するのは全国の動物園などでよく行われていること。なのに、コウノトリは囚人のように無機質な番号で呼ばれていてなんだかなと思っていましたが、実は心温まる理由があったのでした。

名前が付けられた野生のハチゴロウさんの由来もシンプルで分かりやすいです。2日早く飛来していたらハチミツさんになっていたのでしょうか。

「無戸籍コウノトリ」がいる?

 コウノトリは研究者でも見分けることが難しいほど見た目がほとんど同じ。ひなのときに装着する足輪で識別している。足輪には識別番号を付けているが、中には番号がない〝無戸籍〟のコウノトリがいるという。
 郷公園のカウントでは「識別不能個体」は原則として数えない。とはいえ、無戸籍でも、落ちた羽根から採取したDNAを解析して個体を科学的に判別できたり、巣にとどまって繁殖したりすると、野外個体数に数えることもある。
 しかし、カウントされていない無戸籍のコウノトリが現在、2羽いるとみられる。本当の「200羽達成」はもう少し早かったのだ。
 足輪は飼育員が高所作業車で巣の近くまで上ってひなに取り付けるが、かつては田んぼなどに降り立ったときにネットで捕獲する手法だった。しかし相手は鳥。タイミングを見計らうが、飛び去って戻らないこともあったという。
 今年5月下旬、京都府京丹後市の電柱上で生まれた3羽は、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言のため、電力会社が複数人で送電を止める作業ができなかったことから足輪装着作業を断念した。200羽カウントには入れたが、今後は無戸籍としてカウントするかどうか検討中だそうだ。

(2020年8月4日付朝刊より)

愛称もなければ番号すらもらえなかったコウノトリがいるという衝撃の事実でした。コウノトリの飛行ルートなど生態を把握するために付けているもので、無戸籍だから保険に加入できないというような問題はありませんが、カウントに入らないのは少しさみしい気がします。

交通標識「コウノトリ注意」がある。

 朝来市はこのほど、市内の市道沿い4カ所に、コウノトリとの接触に注意を呼び掛けるドライバー向けの警戒標識を設置した。4月に同市内で発生したコウノトリとの衝突とみられる交通事故を受けて、県立コウノトリの郷公園(豊岡市祥雲寺)が標識の図案を試作。道路管理者の同市が採用、設置することを決めた。同公園によると、全国でもツルやタンチョウの標識は存在するが、コウノトリ注意の標識を設置した例は把握していないという。

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 4月中旬、朝来市和田山町久田和の巣塔でひな3羽を育てていた4歳の雄が、近くの田んぼの水路でけがをしているところを発見され、同公園で保護したが2日後に死んだ。同公園によると、現場やけがの状況から、飛んでいる際に車と接触したとみられるという。
 同公園がまとめたコウノトリの救護・死亡事案は2005年の放鳥開始から昨年末までに147件。うち4件が交通事故という。4件のうち3件は車、1件は鉄道が関係していた。えさ場の田んぼが道路を挟んだ位置にあると歩いて横断することもあるといい、ドライバーに注意を呼び掛けようと図案を試作していた。
 市では、コウノトリがよく目撃される場所を巣塔の近隣住民に聞き取った上で、スピードの出やすい直線区間の端に設置することを決めた。
 市建設課の野中昭義課長は「事故はコウノトリだけでなく運転していた人間も悲しい気持ちになる。標識で注意を促し、繰り返されないようにしたい」と話している。

(2021年6月18日付朝刊より)

たしかに万が一衝突してしまったらとてもショックです。みなさん田舎道だからといってスピードの出し過ぎに気を付けましょう。あと、もし負傷したコウノトリを発見した場合、「助けようと近づくと、目などを突かれる恐れがある」そうなので、警察への連絡とともに、県立コウノトリの郷公園に連絡を。

里親にもなれるコウノトリ。

悲しいお話には続きがあります。交通事故で死んでしまったコウノトリには3羽のひなちゃんたちがいましたが、その3羽を別のコウノトリのベテラン夫婦が引き受けたのです。

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 県立コウノトリの郷公園(豊岡市)が、子育て中に父親が死んだコウノトリのひな3羽を、別のペアに育てさせる試みに乗り出した。これまでも親を失ったひなを保護して育てるケースはあったが、いずれも人工保育で、別のペアに託す取り組みは全国で初めてという。
 朝来市内の田んぼの水路でけがをして動けない雄が発見され、同園が保護したが、14日朝に死んだ。雌はひなと一緒に、巣で雄の帰りを待っていた。コウノトリのひなは、どちらかの親が餌を取っている間、もう一方が巣に残らなければ、カラスなどに襲われる可能性があり、1羽の親だけで子育てするのは難しい。同市の依頼を受けた同園が13日、ひな3羽を保護した。
 同園は、子育てが上手な16歳雄と21歳雌の飼育コウノトリのペアにひなを託した。保護された当日、ひな2羽をペアの巣に入れたところ、雌が餌を吐き出して与え始めたため、3羽目も入れて、本格的に託児をスタート。ペアでかいがいしく世話をしているという。

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 同園によると、野外コウノトリのひなの保護は4例あるが、いずれも親の代わりに人が餌を与える「人工育雛(いくすう)」だった。ペアに、既にふ化したひなを預けるのは初めての試みという。
 このペアは、19年秋から同園内の「東公開サイト」にあるドーム型ケージで飼育されており、散策路から中の様子を見学できる。同園は「ひなを攻撃してしまう恐れもあったが、無事に世話をしてくれてスタッフ一同が一安心した。かわいいひなの成長を一緒に見守ってほしい」と話している。

(2021年4月20日付夕刊より)

赤ちゃんを運んできていたコウノトリが、里親まで引き受けるなんて。最後は驚きと心温まるコウノトリビアでした。

豊岡市では田んぼや川などでコウノトリを目にすることは多いですが、何度見かけてもうれしいものです。近づくことはできませんが、たまにこんな↓光景もあります。

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この写真はコウノトリが近くにいたので車を停止して道を譲った同僚記者が撮影しました。田んぼから田んぼへと、2羽がトコトコと横断していったそうです。

<ジムニー>入社9年目。3年前、初めてコウノトリを見てその目力に気圧されたのも今は昔知れば知るほど愛着が湧いてきました。無農薬や減農薬で栽培されるブランド米「コウノトリ育むお米」もおいしいです。最近うれしかったことは巣塔にいるコウノトリが白いふさふさのお尻をこちらに向けてきて豪快に白いフンを放った姿を見れたことです。

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