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地元のプライドが激突、「お国自慢対決」予選ラウンドの結末は…

「内輪ウケ」と言われるかもしれない。
「テレビ番組の質に比べれば」と指摘されるかもしれない。
「この忙しい年末に」という時期的なデメリットもあったかもしれない。

さまざまな課題を含みつつ、神戸新聞は12月18日の夜、一つのオンラインコンテンツを生配信しました。兵庫県内6地域の頂点を視聴者投票で決める「神戸新聞フェス2021 お国自慢対決」の予選ラウンドです。

淡路、播磨、但馬、丹波、神戸、阪神。

25日のフェス本番に予定される決勝ラウンド進出を目指し、それぞれの地域で働く記者たちが、手作りの動画を持ち寄って地元の魅力をアピールしました。一部、技術スタッフの手を借りたものの、素材選びから企画、構成、撮影、編集まで自分たちで手掛け、出演者としても、生配信のプレゼンターとしても体を張っています。


こうして、上記リンクの番組が完成しました。

最初から最後まで、通しで見てもらえればありがたいのですが、3時間余りの長尺ということもあり、時間的に余裕がないかもしれません。そこで今回は、撮影現場を取材した記者シャープが、テキストによる戦評のダイジェストをお届けしようと思います。

土地土地に根を張って取材、執筆し、その中で感じた地元の魅力を懸命にアピールする記者の姿から、何かを感じ取ってもらえればー。そして、番組を少しでも視聴してもらえればー。さらには、25日の決勝ラウンドに興味を持ってもらえればー。

だいぶ欲張りな願望を並べてしまいましたが、前置きはこれくらいにして、さっそく1回戦から振り返っていきたいと思います。

【播磨VS淡路】まさかの展開!? サルの愛らしさが、「鉄板」のラーメンを凌駕した!!

【対決テーマ】
播磨:ニンニク、ラーメン
淡路:牛乳、サル

広い播磨地域の代表は、北播磨をカバーする北播総局が担当。「山田錦」の通年特集に挑んでいる篠原拓真記者がスタジオでのプレゼンターを務めた。緊張を照れ笑いで隠しつつ、濃厚な味わいが特徴の加西特産のニンニクと、甘い醤油だしの播州ラーメンを紹介した。
対する淡路は、淡路総局の中村有沙記者が、モーツァルトの音楽を流して育てた乳牛のミルクと、洲本の観光地として知られる「淡路島モンキーセンター」をPR。急きょナレーションを追加するなど、生配信直前のドタバタを感じさせない、落ち着いたやり取りでアピールした。

視聴者の支持を集めたのは、投票開始からリードを保った淡路だった。

淡路代表の中村記者(右)と播磨代表の篠原記者。篠原記者のかぶり物は、中村記者に託された

勝因を問われた中村記者は「まさか、勝てると思っていなかった…」と思わず本音をぽろり。さかんに首をひねりながらも、撮り直しまでしたモンキーセンターのVTRが評価されたことが嬉しかったようで、「子ザルのかわいさで押し切れたのかな」と笑った。
一方の篠原記者は、動画コンテンツの王道とされるラーメンで挑みながらの敗戦に、ショックを隠せない。勝てば出すはずだった「勝訴」の紙は無駄になった。ニンニクのかぶり物を着用しての出演も、黒歴史確実の失態となり、「敗因は、ボケに走りすぎたこと」とアイデアを恥じた。


【但馬VS丹波】目指すは優勝のみ!? 余裕の但馬が、丹波を振り切る!!

【対決テーマ】
但馬:スッポン、但馬空港
丹波:丹波栗、桶ット卓球

収録当日の降雪にちなんでスノーボードウエアで登場した但馬総局の石川翠記者は、但馬牛という常道をあえて外し、温泉を活用して養殖する香美町のスッポンでアピール。便数が少ない弱点を逆手にとった、空港上空で楽しめるスカイダイビングとの合わせ技で臨んだ。
丹波総局の川村岳也記者は、フォーマルなジャケット姿という好対照ないでたち。丹波栗のモンブランを一度に食べた人数でギネス記録に挑戦する高校生たちの取り組みと、風呂桶でボールを打ち返す「桶ット卓球」という丹波篠山発祥の変わり種で対抗した。

結果は、但馬に凱歌が上がる。

満面の笑みの但馬代表石川記者(右)と、恨めしそうに風呂桶を見つめる丹波代表の川村記者

石川記者は「丹波栗とスッポンの対決は互角。スカイダイビングで差を付けられた」と冷静に分析しながらも、それなりにかかったであろう費用には触れなかった。そのスカイダイビングの映像も、雲を抜けた先に広がる絶景を決勝ラウンドまでとっておく余裕を見せ、「さらに動画を磨き上げて、優勝を目指したい」と力を込めた。
川村記者は、実家の母からコメントが寄せられるなど、つてを頼った票集めが実らずがっくり。「栗も桶ット卓球も強いコンテンツだったのに…」とぼやきが止まらなかったが、桶ット卓球でミスを繰り返す自身の姿が番組で延々と流れたこともあってか、最後は「但馬の動画、おもしろかったです」と懸命に前を向いていた。


【神戸VS阪神】予選ラウンド屈指の好カード!! モルック人脈を生かした阪神が神戸を下す!!

【対決テーマ】
神戸:チョコレート、夜景
阪神:甘酒、モルック

神戸は、自他共に認めるまじめキャラ、報道部の名倉あかり記者がプレゼンターを務めた。自ら出演した動画では、そのまじめさに似つかわしくないお嬢様と執事のコントを繰り広げ、質の高い編集も相まって、チョコレートと夜景の魅力を存分にPRした。
迎え撃つ阪神は、根はまじめなのにおちゃらけたがる阪神総局、竹本拓也記者が出演した。進行役を務めた甘酒のVTRでも、評価者がコロコロ変わる無意味な鑑評会を挿入するなど、笑いを意識した出来栄え。川西などで広がりを見せるニュースポーツ「モルック」と合わせて取り上げた。

決勝ラウンドへの切符は、ダブルスコアの大差で阪神がつかむ。

高笑いが止まらない阪神代表の竹本記者(左)と、心底落ち込んで小さくなる神戸代表の名倉記者

竹本記者は、デスクも加わり、ロケハン、撮影、編集に1カ月を費やすなど総局一丸でつかんだ勝利だとチームワークを強調。その実、「モルック愛好家の応援が大きかった」と明かし、総局ぐるみの票固めが奏功したとみる向きも強まったが、「決勝ラウンドでも、阪神間の人たちに新たな発見を届けたい」と気にしていない様子だった。
喜楽館を借り、社長車をチャーターし、さらに敏腕編集マンまで起用するなど、ありとあらゆる手を使っての敗戦に、名倉記者は顔色を失った。「ベタなテーマを選んだのが失敗だった」と言葉少なに語っていたが、途中から「私たちの動画のレベルが高すぎたことで、『阪神がかわいそう』となって票が流れた」と分析を一変させ、負けず嫌いの性格をのぞかせた。


注目の決勝は25日!! 淡路、但馬、阪神の三つどもえ!!


いかがだったでしょうか。

地元の期待を背負った記者たちが奮闘し、勝敗に一喜一憂する姿が、少しでも心に響いたとしたら、こんなに嬉しいことはありません。

くどいですが再度、番組のアーカイブを埋め込んでおきます。気になった地域の対戦だけでも結構ですので、よろしければご覧になってください。


淡路、但馬、阪神がぶつかる決勝ラウンド(本戦)は、12月25日夜に生配信いたします。動画を入れ替えてくるチームも想定され、予選ラウンドを見ていただいた方も、そうでない方も楽しめる構成となっています。

当日は、人気作家岸田奈美さんのインタビューや、王子動物園のアイドル「タンタン」の最新映像など、コンテンツも盛りだくさんです。クリスマスの夜ですが、お国自慢対決と合わせて、ぜひご覧ください。


<シャープ>
2006年入社。これまで阪神、神戸、播磨(姫路)で勤務したことがある。推しチームだった神戸が予選ラウンドであっさり敗れ、決勝ラウンドはどこを応援するか思案中。


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