ネット全盛の世でも 時代を刻む「号外」
こんにちは、ぶらっくまです。
「号外です!号外!」。こんな呼び声とともに新聞社員らが配る薄い新聞を、受け取った経験はあるでしょうか。
号外とは、国民的な一大事が起きた際、普段の新聞とは別に発行される特別な新聞です。通常の新聞には発刊以来の号数が1面に掲載されていますが、臨時で出す号外は、この通し番号の対象外のため「号外」というわけです。
人通りの多い大きな駅前などで無料で配られ、大抵は2~4ページほどの構成になっています。1ページのみで新聞社の前などに掲示される「張り出し号外」や、近年はネットで見られるPDF号外もあります。
神戸新聞でも電子版「神戸新聞NEXT」のサイト内に、「過去の号外」として近年の号外の一部を載せています。
では「号外」と聞くと、どんなニュースを思い浮かべるでしょうか。最近だと、やっぱりあれですよね。
「侍ジャパン 世界一」
そう、野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での日本代表
の優勝です。神戸新聞が発行した直近の号外でもあります。神戸の繁華街などで配り、用意した部数が瞬く間になくなったと聞きました。東京や大阪でも、各紙の号外に多くの人が集まったことがニュースになっていましたね。
神戸新聞に後日、「WBCの号外がほしい」というお電話もたくさんいただいたのですが、申し訳ないことに、それができないのが号外でもあります。ニュースの速報性ではネットが勝りますが、号外は「その場限り」だからこそ、記念に持っておきたいという思いも生まれるのでしょう。
中でもスポーツに関する号外は、笑顔で受け取ってくれる人が多く、配る側も心が躍ります。過去には、こんな号外にも街頭で人だかりができました。
「羽生 連覇」
2018年2月、平昌冬季五輪のフィギュアスケート男子で羽生結弦選手が優勝し、66年ぶりの2連覇を達成した号外です。
目に飛び込んでくるシンプルな見出しも、号外ならではですね。写真のチョイスも重要です。時間に限りがある中で、一番いい瞬間の1枚を選びます。
スポーツの号外では、神戸新聞ならではの、こんなものもありました。
「イニエスタ初陣」
2018年7月、サッカーJリーグ1部(J1)ヴィッセル神戸に新加入した元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ選手が、本拠地ノエビアスタジアム神戸のピッチに立った時の号外です。
この時、イニエスタ選手は、来日からわずか中3日でした。その後、深刻なけがにも見舞われましたが見事復帰し、今季も神戸の街を沸かせています。
次は、ぐっと時間をさかのぼって懐かしい号外です。
「阪神ついに日本一」
1985年11月、阪神タイガース初の日本一の瞬間です。36年目の悲願達成でした。紙面のレイアウトなどにも歴史を感じますね。
もちろん号外は、スポーツニュースばかりではありません。大事件や大事故、大災害などの際にも発行されます。「時代を刻む」のが新聞の役割の一つですが、号外はその意味合いが一層強いといえます。
最後に「文字通り」、時代を刻んだ号外を二つ。
「新元号は『平成』」
「令和」
「令和」は記憶に新しいですね。そういえば、見出しに「れいわ」とふりがなを振っていたんですね。いまや令和5年になり、国民の意識にもなじんだのではないでしょうか。
ネットニュース全盛の時代になりましたが、時代を刻む号外の役割はまだまだ健在といえそうです。
〈ぶらっくま〉
1999年入社。私も街頭で号外を配布したことがありますが、〝売れ行き〟がいいと、配る側もうれしくなります。「普段の新聞もこれくらい売れたらな・・・」という思いもよぎりますが(汗)、号外を通じ、紙でニュースをじっくり読む楽しさ、醍醐味が見直されるといいな、と思いながら作業しています。