これぞ鉄道ファンの鑑賞力!? 100本超の上司のコラムから選んでみました
見出し画像

これぞ鉄道ファンの鑑賞力!? 100本超の上司のコラムから選んでみました

自他ともに認める鉄道ファンの上司がいます。今は違う部署ですが、神戸新聞の過去記事をまとめる「うっとこ兵庫」について話すと、「ここから適当に選んでみてくれるか」と、鉄道を扱った記事と写真がどーんと届きました。これまで電車を便利な乗り物としてしか見たことがありませんが、播州人3号が紹介させていただきます。

紙面ではなく、神戸新聞のフェイスブック内のコラム「記者らいふ&らいぶ」で「てっぱん」と題したコーナーに掲載されています。

始まったのは2012年9月。
初回のテーマは「蛍光灯カバー」でした。関西と関東で電車内の照明カバーのあるなしを論じています。なんとも渋い。

<てっぱん>(1)

 日々利用する駅や電車で気付いた、気になるエピソードを書いていきたいと思います。
最初は通勤電車の室内の「蛍光灯カバー」のお話。関東では蛍光灯をむき出しにした車両が多いですが(新幹線や有料の特急には付いていますが)、関西では特別な料金を必要としない普通の車両でも蛍光灯にアクリル製のカバーが付いているのが「普通」です。多少コストがかかっても高級感を出すことを意識するのか、コストを下げて大量の車両を導入するのかという東西の「思想」の違いでしょうか。

画像1

ところが、近年は関西でもカバーがない車両が増えています。これは耐火基準の強化が理由と言われています。鉄道車両はもともと難燃化が進められていますが、火災事故が起きた際の対策から、当局からさらなる対応強化を求められているようです。阪神電車でも、阪神なんば線などを走る最新の1000系車両は蛍光灯がむき出しになりました。関西でもいずれ「むき出し」が当たり前になるのでしょうか。もっとも、伝統を重んじる阪急電車は、新型の9000系車両では、蛍光灯カバーを省略する代わりに間接照明を採用し、蛍光灯を隠しています。時代の変化とともに、地域の特徴が薄れつつあるのは致し方ないとはいえ、残念なことでもありますね。

タイトルの「てっぱん」には「日々利用する鉄道のネタの掲示板」という意味を込めたと紹介されています。

スタートから9年、100本以上掲載され、今も続いています。
よくぞこれだけ書くことがあるものと驚きます。

せっかくの機会なので全部に目を通してみました。
鉄道を愛してやまないからでしょうか、これならネタに困らないだろうと思うぐらい多角的な切り口でした。

そういえば、普段会話をしていてもいつの間にか鉄道のことに話題が引き寄せられていることがよくありました。それだけ鉄道ネタの引き出しがあるということですね。

「専門的すぎる」テーマはやや荷が重いので、身近に感じられた記事を取り上げます。

<てっぱん>(その11)

右か、左か。それが問題だ-。
今回は、定番ではありますが、鉄道駅のエスカレーターにおける立ち位置の違いについてのお話です。

画像2

先日、新幹線で新大阪から東京へ行く機会がありました。ホームへのエスカレーターをあらためて観察してみると、「立ち位置」の違いは鮮明ですね。
新大阪駅では右側に立ち、急ぐ人のために左側を空けます(写真・右)。東京駅では左側に立ち、急ぐ人のために右側を空けます(写真・左)。以前、東京駅に着いた時、無意識のうちにエスカレーターの右側に悠然と立っていて、先を急ぐビジネスマンに舌打ちをされたこともあります。
この「右立ち」と「左立ち」の境目がどの辺りなのかは、インターネット上でも話題になったりしていますが、例えば、名古屋駅は「左立ち」が多いですね。各地の知人らの話を総合しますと、どうやら、おおむね関西圏以外は「左立ち」が主流のようです。
ただ、関西でも、観光客の多いJR京都駅では「左立ち」がよく見られますし、出張帰りのビジネスマンでにぎわう夜の新大阪駅の東京方面行きホームへのエスカレーターには「左立ち」の人が増え、勝手が違った経験もあります。
さて、関西の「右立ち」は、エスカレーターが鉄道駅に設置され始めたころ、鉄道会社が海外の状況を確認し、ロンドンのように「右立ち」の例が多かったため、利用者にそのように案内したとの説もあります。ゆえに関西人は「関西こそがグローバルスタンダードだ!」と胸を張ったりするのです(笑)
少し話はそれますが、よく観察してみると、エスカレーターは、東京では「立ち止まるのが普通」で、関西では「歩くのが普通」という違いも見て取れます。エレベーターは“乗車時間”の短い乗り物ですが、しばし立ち止まり、いろいろと思いを巡らせてみるのも面白いかもしれません。

 (2012年11月15日の投稿から)

新神戸駅のエスカレータで左立ちの人を見かけると、出張で来た関東の人かなと想像してしまいます。
反対に、東京駅のエスカレーターで右側に立っていて、気付けば後ろに人が詰まっていて気まずい思いをしたことがあります。

右か、左か―。単なる立ち位置ですが、「ロンドン視察説」など興味深いてすね。

▢ ■ ▢ ■ ▢ ■

次は神戸市営地下鉄の記事です。
通勤でお世話になっています。

<てっぱん>(その105)

今回のお話は「たかが3センチ、されど3センチ」です。
神戸市営地下鉄の西神・山手線に26年ぶりの新型車両6000形が登場し、徐々にその数を増やしています。2022年度までに全28編成(1編成6両)を置き換える計画です。これまでの最も古い車両は1976(昭和51)年デビューの1000形で、製造から約40年が経過。最後に整備した3000形も25年が経過しています。

画像3

さて、神戸市営地下鉄西神・山手線といえば、阪急電鉄神戸線との相互直通運転の構想が注目されていますが、高額の事業費や技術的な課題などもあり、現時点では神戸市と阪急が協議中で、開業予定時期などは見通せません。
直通運転の実現に向けては〝壁〟もあります。両者は線路の幅は同じ標準軌ですが、阪急神戸線は8両編成、神戸市営地下鉄は6両編成です。大阪梅田まで直通させようとすると増結する必要があります。また、車体の全長は19メートル、3枚扉というのは同じですが、車体幅が異なる問題を解決しなければなりません。阪急の車体幅は2750ミリ(標準)、西神・山手線が2790ミリ(同)と4センチ広く、地下鉄の車両はそのままでは阪急に直通できないのです。
解決するには、阪急神戸線の各駅のプラットホームを削るか、地下鉄に幅の狭い車両を導入するかで、今回の地下鉄の車両新製は好機到来とも思えました。しかし、6000形の車両幅は2780ミリで、このままでは阪急に乗り入れることはできません。たかが3センチ、されど3センチ。6000形をどれぐらいの年数使用するのかは分かりませんが、仮に阪急と神戸市営地下鉄の相互乗り入れ構想が実現に動きだしたとき、車両の問題をどうクリアするのか、目が離せません。

 (2019年10月18日の投稿から)

「6000形」という言葉が出ると一気に鉄道の記事らしくなりますね。

阪急電車と市営地下鉄の相互乗り入れ構想は10年以上前からあり、何年かごとに注目されてきました。

神戸市外の人にはあまりピンとこないかもしれませんが、実現すれば、神戸市の西から大阪までの往き来がかなり便利になり、地下鉄沿線の地価が上がるとさえ言われています。

神戸市を担当しているときに何度か原稿を書いたこともあります。
当時はトップの判断にばかり注目していましたが、技術的な面から見ればそう易々と実現できることではないことが分かります。

そのためでしょうか、相互乗り入れ構想は現時点でも大きくは前進していません。

▢ ■ ▢ ■ ▢ ■ ▢

次も地下鉄のコラムです。
毎日のように利用しているのに「なぜ」と感じたことはありませんでした。

<てっぱん>(その109)

今回のお話は「イメージテーマがある駅」です。
神戸市営地下鉄で最初に開業した区間は新長田~名谷間です。開業したのは1977年3月13日でした。その後、少しずつ延伸され、西神・山手線は西神中央~新神戸間で全線開通しました。2020年6月には北神急行が市営化され、新神戸~谷上間は北神線となりました。ところで、谷上駅を除く各駅にイメージテーマが制定されていることはご存じでしょうか?

画像4

最初に開業した新長田、板宿、妙法寺、名谷の各駅については、特にテーマを意識させるデザインが施されています。名谷は「春」。開業時に駅舎西側の壁面に「春の風」と名付けられた縦8メートル、横14メートルの巨大な壁画が設置されました。次の妙法寺は「秋」。ホームの壁面に栗や柿など秋の幸を描いた陶板などが飾られています。そして、板宿はその名の通り「板」。ホーム壁面が板張りのデザインとなっています。最後の新長田は「鳩」です。開業時には百羽以上のアルミ箔でできた鳩が飛び交うように、ホームの壁面などにちりばめられました。

画像5

その後に開業した駅では、例えば、西神中央は「太陽と緑」、三宮が「国際性と未来志向」。県庁前が「異人館」。上沢は「桜」…などと設定されていますが、デザイン的な主張は見られません。最初に開業した4駅は神戸市営最初の地下鉄への意気込みが込められていたのでしょうか。
前述の通り、新長田~名谷間は開業から44年が経過し、老朽化や陳腐化は否めません。そこで神戸市は新長田駅の大規模リニューアル計画を発表。デザインを投票で決める「総選挙」も実施しました。プラットホーム階の内装などが一新されます。「総選挙」で最多得票数を獲得した新しいデザインは「緑と光~風に揺れる木々のゆらぎや光を抽象化した未来的な駅空間~」です。工事は2023年度後半には完成予定とのこと。そこで気になるのが、長らく新長田駅を彩ってきた「鳩」です。デザインにどう反映されるのか、注目したいですね。

  (2021年4月4日の投稿から)

画像6

少し前、記事中の妙法寺駅のホームで電車を待っていたときのことです。
70歳ぐらいの男女2人が壁面の「柿」について話していました。

女性「おっきな柿やね。なんで柿なんでしょうか」
男性「この奥の方に昔から柿で有名なとこがあったからな」
女性「そうなんですか。知りませんでした」

2人の会話を聞きながら、こっちも「そうなんや」と得した気分になりましたが、違ってましたね。すぐそばに栗があることからも分かります。

記事を読んでから駅構内を注意して見てますが、イメージテーマについての案内は見つかりませんでした。

この記事を読まなければ、「妙法寺というのは昔、柿で有名なところが…」と広めてしまうところでした。

記事中のほかの駅も乗り降りしていますが、恥ずかしながらホームの壁面にはほぼ気付いていませんでした。かなり目立つにもかかわらず、見えてませんでした。

電車だけでなく、駅やホームにも目を配る。鉄道ファンの観察力のするどさですね。

▢ ■ ▢ ■ ▢ ■

通勤の際は、ホームのだいたい同じ位置で待ち、同じ車両に乗っています。電車に乗ってからは本を読むか、神戸新聞の音声コンテンツ「めっちゃ兵庫」を聞くかですが、もう少し車内やホームにも目を向けようと思います。

100回を超えるコラムの中には、きっとマニアの方がうなるようなテーマもあるはずです。残念ながら鉄道ファンではないため、それらをしっかり扱うことはできませんでした。
次はぜひ、コラムを書いた上司にお願いし、自選の記事をまとめてもらいたいと思います。

<播州人3号>
1997年入社。出張などで東京駅を利用することがありますが、何回降りても乗り換えがスムーズにいきません。スマホを手に「在来線乗り換え、在来線…」などとぶつぶつ言いながら駅構内の表示板を探します。これではエスカレーターで右側に立たずとも、東京に慣れていない地方在住者ってばれるでしょうね。

#鉄道 #鉄ちゃん #神戸新聞 #神戸市営地下鉄 #阪急電車 #右立ち #6000形 #新型車両 #相互乗り入れ #三宮駅 #新長田駅 #東京駅  


また見てください。色づく氷ノ山です(2019)
兵庫県の地方紙「神戸新聞」です。過去記事の中から、記者らがテーマごとに独自の視点で選び、背景や取材の裏話などとともに紹介します。ゆかりの有名人の逸話や、ほっこりする地域の話題など兵庫の魅力を、毎週水曜正午と土曜午後6時に投稿します。「おもろい」と思われた方、ぜひフォローください