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神戸出身で初の2千安打を達成した西武、栗山。マスコミ対応も超一流

神戸市西区出身で、プロ野球・西武の栗山巧選手が9月4日、通算2千安打を達成しました。自身が38歳となった誕生日の翌日のことでした。兵庫県出身者では元ヤクルトの古田敦也さん(川西市出身)、巨人の坂本勇人選手(伊丹市出身)に続いて3人目、神戸市出身者では初めてとなります。今回は、快挙を成し遂げた栗山選手について、30年来の西武ファンで個人的にも応援してきた筆者、獅子党から詳しく紹介したいと思います。

西武は1990―94年にリーグ5連覇を果たすなど黄金時代を築き、リーグ優勝23度、日本一13度を数える名門球団です。しかし、FAなどで国内外の他球団への流出が多く、栗山選手は生え抜きでの大台達成が初めてとなりました。20年間在籍すること自体が珍しく、同期で本塁打王6度、通算435本塁打(9月16日時点)の大砲、中村剛也選手とともにチームを支え続けています。球団は2人を「骨と牙」と表現しています。2人へのファンからの支持、信頼は絶大です。

さて、栗山選手の偉大さについて、今度は数字で読み解いていきます。以下が9月16日時点の通算成績です。

2049試合▽8335打席▽7139打数▽2009安打▽845打点▽378二塁打▽29三塁打▽117本塁打▽950四球▽78死球▽1272三振▽打率.281▽長打率.392▽出塁率.369

安打数もさることながら、二塁打と四球の多さも目立ち、いずれも球団記録となっています。ヒットの4本に1本以上は長打で、9打席に1四球以上を選んでいます。歴代通算では、安打数が52位(現役4位)で、二塁打数は24位(同3位)、四球数は21位(同3位)に入っています。出塁率も3割台後半と高く、チームへの貢献度の大きさを示しています。
ストライクとボールを見分ける選球眼の良さ、状況に応じて広角に打ち分ける技術、衰えない鋭いスイングといった面が、栗山選手の特徴ではないでしょうか。

神戸発 レオの星
栗山巧外野手(育英高出)
プロ入り4年1番で大暴れ 

 育英高出身の西武ライオンズ・栗山巧外野手(21)が頭角を現してきた。過去3年間で1軍出場はわずか1試合だったが、プロ4年目の今シーズンは初先発した4月12日以来8試合連続安打と好調だ。打率3割9分5厘(22日現在)、13日の日本ハム戦ではプロ初本塁打も放つ活躍で1番打者に定着している。「楽しいっすね」と話す笑顔に充実感が漂う。
 育英高時代は2年夏の甲子園で8安打9打点と大暴れし、4強入りに貢献した。大学や社会人を経ずにプロ入りすることを目指して居残り練習を続け、ドラフト4巡目指名を受けた。
 「4年で結果を出さなければ、高卒でプロに入った意味がない」。プロ入り後は1軍を目指し、毎日体力の限界まで練習した。
 「数を振ってきたことが自信になっている」。試行錯誤の末、打撃フォームも高校時代と一変。バットを立て、足を高く上げてタイミングを取る今の形に行き着いた。
 スカイマークスタジアムの近くで育ち、大のオリックスファンだった。何度も球場に足を運んではイチロー(現マリナーズ)らのプレーに胸を高鳴らせた。
 「プロ野球選手になって、ここでプレーしたい」。その夢をかなえた15日のオリックス戦。両親や親類をはじめ、自身が巣立った小寺小(神戸市西区)の球児ら約100人を招待し、その目の前で先制点を生む内野安打を放った。
 「まだ挑戦する権利を与えられただけ。1日1日全力でプレーして、悔いの残らないシーズンにしたい」。打って、走って。21歳のリードオフマンが、連覇を目指すチームに新風を吹き込む。

  (2005年4月23日付朝刊より)

順調に実績を積んだとみられる栗山選手ですが、レギュラーに定着し始めたのは、育英高校(神戸市長田区)卒業後、プロ入り6年目の2007年です。10、11年は2年連続で全144試合フルイニング出場を遂げました。途中、死球などによる故障もありながら、14年間毎年100試合以上の出場を続けています。その間、安打数も先発機会が減った17、18年以外は100安打以上を継続。今季も4番を含む中軸を多く担い、2千安打達成後も先発を続けて安打を積み上げており、38歳の今も貴重な戦力として期待されています。

神戸出身 偉業達成まで15本
栗山 2000安打へ飽くなき努力
「地元の子らに夢を」


 東京五輪による約1カ月の中断期間を経て、13日に再開するプロ野球の後半戦で、埼玉西武ライオンズの栗山巧(37)=神戸市西区出身=が、神戸市出身者で初の2千安打達成に挑む。西武一筋20年で通算1985安打を重ね、大台まであと15本。勝負強さが光るベテランは「期待されることなので、何とか良い1本を積み重ねていって必ず達成したい」と決意を込める。




21年前の全国高校野球選手権大会3回戦の那覇戦で、2打席連続の三塁打を放つ育英高時代の栗山巧=2000年8月17日、西宮市の甲子園球場
 左打ちの外野手で、育英高校(神戸市長田区)時代に甲子園に2度出場し、2000年、2年生だった夏に4強入り。当時の記事では、主軸打者として「『求道者』のイメージがぴったりくる」と紹介され、「プロに行くためには、構えただけで相手に『いややな』と思わせる打者になりたい」と語っている。さらに、3回戦で放った三塁打2本については「もっと芯に当てたかった」と飽くなき向上心を見せていた。
 ドラフト4位で02年に西武入り。4年目の05年から頭角を現し、08年はリーグ最多の167安打を放ち、チームの日本一に貢献した。12年から5年間主将として引っ張ったほか、昨年は9年ぶりのベストナイン(指名打者として初。過去に外野手で3回)に輝いた。
 2千安打まで残り74本からスタートした3月の開幕戦後に負傷離脱したが、約1カ月後に復帰すると打線の中軸を担い、64試合に出場。59安打を放ち、打率2割6分、3本塁打、22打点で前半戦を折り返した。
 鋭いスイングやここ一番の集中力は健在だが、栗山は「もう少し数字的にはしっかり上げていきたかった。後半に向けてしっかり巻き返すというつもりで今頑張っています」と言う。
 生まれ育った神戸を「すごくいいまちで、いつも帰りたいと思う心のよりどころ。少年野球の文化、野球をする下地がある」とする栗山。記録達成へ「僕が活躍することで地域に貢献し、プロ野球を目指すといった夢に向かう子どもたちが増えることを願っている」とコメントを寄せた。
 プロ野球で2千安打を遂げたのは、これまでに53人いる。兵庫県出身者はこのうち2人で、元ヤクルトの古田敦也さん(56)=川西市出身=が05年に初めて達成し、今回の東京五輪で日本の金メダルに貢献した巨人の坂本勇人(32)=伊丹市出身=が、昨年11月に到達した。

  (2021年8月11日付朝刊より)

西武も生え抜きの大記録を後押しします。同じ日の紙面です。

神戸での満塁弾動画/約束のサヨナラ本塁打…
西武、特設サイトで活躍特集



 西武は球団初の生え抜きでの2千安打達成を後押ししようと、「ONE ROAD(ワンロード)」と題したプロジェクトを立ち上げ、特設サイトを公開している。
 ユーチューブにも公開した栗山巧の特集動画では、2014年7月、地元のほっともっとフィールド神戸(神戸市須磨区)での初ホームランで、満塁弾を放った場面も。「この球場でホームランを 子供の頃に描いた夢が叶(かな)った」と紹介される。
 サイト内では安打を放った試合ごとにエピソードを掲載。退職する西武担当の記者に「必ず打つ」と約束し、サヨナラ本塁打を放った逸話などが挙がる。
 西武は、会員制交流サイト(SNS)のツイッターとインスタグラムで、検索目印となる「#(ハッシュタグ)ONEROAD」を付けた上で、栗山への応援メッセージや関連するエピソード、栗山のグッズなどと写った写真の投稿を募っている。

栗山選手はプロ入り後も毎年オフには地元神戸に帰ってきます。
2011年からは自身の名前を冠した少年野球大会を開き、子どもたちと交流しています。

記録達成前の2019年も地元で子ども向け野球教室を開いていました。





西武2連覇で地元凱旋
栗山「頑張りたい」
三木で少年野球選手を指導 

 今季パ・リーグで2連覇を果たした西武の栗山巧外野手(36)=育英高出=が凱旋(がいせん)した。今月8日、三木市の三木総合防災公園野球場を訪れ、主催する「栗山巧杯少年野球大会」(神戸新聞社後援)の決勝戦を観戦。ゲームなどで野球少年らと交流し、英気を養った。
 プロ18年目の栗山は今季123試合に出場し、3年ぶりに100安打以上をマークするなど強力打線の一角を担った。
 大会は地元貢献として神戸市少年団野球リーグなどと毎年開いており、9回目。100チーム余りが争い、6年生の部は本山フレンズA、5年生の部は東播ナインストリームBが優勝した。
 栗山は試合後、ティー打撃の打球方向で打席結果を決めるゲームを児童ら約40人とプレー。約120人が参加した野球教室では、同僚の永江恭平(26)、ヤクルトの奥村展征(24)両内野手らと実演を交えて指導した。
 「2連覇できて、胸を張って帰ってこられた」と笑顔の栗山。通算1825安打と大台の2千安打まで残り175本とするが「1本打つのは大変難しい。軽々しく口にできる数字じゃない。早く目標と言えるぐらい頑張りたい」と気合を入れ直していた。

  (2019年12月19日付朝刊より)

実は栗山選手、東京五輪に伴うリーグ中断期間中に、神戸新聞の音声番組「めっちゃ兵庫」にメッセージを寄せてくださいました。その内容を全文掲載します。

「神戸市西区出身、西武ライオンズの栗山巧です。高校まで過ごした神戸は、オフになったり、時間があったら帰って。やっぱり神戸に帰りたいなといっつも思う、心のよりどころです。すごくいいまちで、今でも帰りたいなと思っています。頑張るのが今の僕につながっていると思います。
今季はなかなか数字自体がバンと上がってくることはないんですけど、一本ずつ、一本ずつという感じでなんとか頑張っています。地元神戸をはじめ兵庫の皆さん、タイガースだけじゃなくてね(笑)、ライオンズにも注目してもらって、皆さんに喜んでもらえるような活躍をしていって、2千安打を達成したいと思いますんで、ぜひぜひ応援よろしくお願いします」

栗山選手を取り上げた音声コンテンツ「めっちゃ兵庫」はこちらです。

https://voicy.jp/channel/1848/189071

まさにこの1カ月後、有言実行で2千安打を達成してくれました。ユーモアを交えながら率直な思いを語っていただき、どうもありがとうございました。郷土愛の大きさが伝わってきます。

これからも現役での活躍を願い、さらにその先まで応援し続けたいと思います。

<獅子党>
 2009年入社。神奈川県平塚市出身。父は長崎出身、自身は横浜で生まれ、就職後神戸に来て港町に縁を感じます。プロ野球の西武と、箱根駅伝のファン歴は約30年。いずれもほぼ毎年現地観戦してきましたが、この1年余りはコロナ禍で遠のいています。

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