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参議院の「参議」って? 「定数」じゃなくて「改選数」と呼ぶのはなぜ? 投開票日を前にチェックしておきましょう
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参議院の「参議」って? 「定数」じゃなくて「改選数」と呼ぶのはなぜ? 投開票日を前にチェックしておきましょう

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参議院議員選挙が、明日7月10日に投開票されます。

兵庫県内全域が選挙区で、県内12の小選挙区に分かれる衆議院議員選挙と比べると、どうしても”地元感”が薄い存在ですが、国政に対する思いを直接託すことができる貴重な機会です。

そんな参院選にまつわる基本情報について、記者シャープが、3本の過去記事から紹介します。

まずは、参議院の意義づけと名称に絡むエピソードを、1面下の「正平調」から引いてみました。


◆「参議」は封建的?

比例復活で20期連続当選を果たした原健三郎氏=1996年10月21日

「おとうちゃん、やめときや。朱に交われば、赤くなる、や」と家族に言われて、落語家の桂三枝さんは参院選不出馬を決めた。参院は「良識の府」であるはずだが、最近は三枝さんの判断の方を「良識」と受け止める人が多い◆政党主導の衆院に対して、大所高所から補完と抑制の役割を果たすのが「良識の府」の意だが、それが「衆院のカーボンコピー」と言われるようになったのはいつのころからだろうか◆半世紀前の議会で、まだ新人議員だった原健三郎代議士が、時の憲法担当大臣に質問したことがある。「参議という言葉には、何とはなしに封建的なにおいがするのでありますが…」。答弁は「大体、知恵を出して補充的な意味において議会の働きを達成しようというものには、こういう言葉がよいのではないか、と」◆名は体を表す。名称由来の大臣答弁のあいまいさに、発足当初から二院制の位置付けがはっきりしていなかった「においがする」。そして、衆院への小選挙区比例代表並立制の導入によって衆参両院の区別がますます付かなくなってしまった◆昭和二十年代から三十年代にかけ、是々非々の立場を掲げた参院の独自会派「緑風会」。その象徴とされた石黒忠篤の信念の一端。「すべて国政上、万事厳正公平の批判をもって臨み、足らざるはこれを補い、過ぎたるはこれを正す」◆きょう公示される参院選で選ばれる議員の任期は二〇〇一年まで。朱に交わって「赤」になるか「緑」になるか、あるいはカーボンコピーの「黒」か。次世紀の「良識」を、厳正公平に選ばねば。

(1995年7月6日付朝刊より)


「参議」とは、「政治上の議事に参加して、相談を受けること」という趣旨。つまり、参議院は、衆議院の相談役と位置付けることができるわけです。

この呼称について、「ハラケン」と親しまれた兵庫選出の原健三郎衆院議員が、「封建的」と指摘しています。なぜ封建的だと考えたのか、詳しくは分かりませんが、奈良時代の律令制や明治新政府の太政官制で「参議」という同名の役職があったからなのでしょうか。

ちなみに、記事の冒頭に登場する桂三枝さんは、現在の桂文枝さんです。議員バッジに意欲を見せていた時期があったんですね。


続いては、改選数の話題です。


◆兵庫の「改選数3」は前々回の選挙から

兵庫選挙区の改選数が2から3となった前々回の参院選=2016年6月23日

 参院「1票の格差」を是正する選挙制度改革をめぐり、隣接選挙区を統合する二つの合区を盛り込んだ公選法改正案が24日、参院本会議で自民党や維新の党などの賛成多数により可決された。28日にも衆院本会議で可決、成立する。都道府県単位の参院選挙区の合区は初めて。来年夏の参院選は「18歳以上」への選挙権年齢の引き下げと併せ、制度が大幅に変わる。

 改正案は定数を「10増10減」し、兵庫選挙区は定数4から6へ2増となる。改選数が1増える来夏の参院選に向け、公明党が24年ぶりとなる独自候補擁立を検討するなど、兵庫県内では早くも各党の思惑が交錯する。

 「候補者擁立を前向きに考えたい」。公明県本部の代表代行は議席復活に強い意欲をにじませる。1992年を最後に候補擁立は見送ってきたが、定数が3だった83~92年の4回の参院選はいずれも40万票以上を集め、議席を維持した。

 公明と連立を組む自民は既に現職の公認を決めており、公明の動向を注視する。選挙で協力関係にある公明の候補擁立は、票の目減りに直結しかねないからだ。
 自民県連の選対委員長は「いずれ公明と協議する必要がある」。複数の地方議員に「公明が参院選に擁立するなら、自民が公明に譲っている衆院兵庫2区と8区に立てるべきだ」との〝強硬論〟もあり、先行きには不透明感が漂う。

 前回2013年に現職が議席を失った民主党は、来夏に改選を迎える現職の議席死守に全力を挙げる。党勢回復の兆しはいまだ見えず、県連の幹事長は「国民に反発の強い安保関連法案などを材料に、自民との対立軸を明確にするしかない」と危機感を募らせる。

 一方、維新は参院2議席目を狙う。県総支部役員は「堂々と議席を取りにいく」と宣言。圧倒的な存在感を誇る橋下徹・党最高顧問が政界引退した場合の影響が懸念されるが、「昨年末の衆院選で全県的に民主を上回る支持を得た」と自信を示し、候補者選定を進める。

 共産党は04年に失った議席回復の「絶好のチャンス」とする。昨年末の衆院選では比例近畿で党県委員会幹部が当選。今年1月に早くも新人の擁立を発表した。党県委員会の書記長は「自公政権との対決姿勢を強める」と意気込む。

(2015年7月25日付朝刊より)


参院選の兵庫選挙区は、長く改選数2の時代が続いていました。
しかし、「1票の格差」が最大4・77倍に上った2013年参院選について、最高裁が「違憲状態」と判断。全国の選挙区や定数が見直された結果、兵庫は2016年参院選から改選数3になったのです。

記事では、各党の兵庫県組織がどう受け止めているかをまとめています。一部の政党名に時代を感じつつも、構図自体は、今回の参院選と大きく変わっていないようにも思います。

なお、選挙では当選者の数を「定数」と表現することが一般的ですが、参院選では「改選数」と言います。これは、「参議院議員の任期は6年とし、3年ごとに、定数の半数を改選する」という日本国憲法46条の書きぶりに基づいています。

ラストの3本目は、投票率を取り上げたコラム「日々小論」です。


◆あなたの1票で、必ず変わる「投票率」

3年前の前回参院選で、投票所の設営準備をする三田市職員=2019年7月20日

 7月10日投開票の参院選が始まっている。
 候補者の熱とは裏腹に、参院選の投票率は高くない。前回2019年に至っては、兵庫県は48・60%。2人に1人以上が棄権をしていることになる。
 その1票が未来を決める―。この類いの言葉を、しばしば耳にする。
 ただ、どこまでの説得力があるだろう。数票差で当落が分かれることもある市町議選ならいざ知らず、有権者が450万人を超える兵庫選挙区である。1票で結果が変わるとは、思えない。「投票しても何も変わらない」という言葉の方が、むしろすとんと胸に落ちる。
 けれど、1票で確実に変わるものがある。
 投票率だ。
 例えば、市川町の有権者数はおよそ1万人。1人が0・01%に相当する。投票率は通常、小数第2位まで発表されるから、1人が投票するかしないかで、データは変化する。
 世代別でもそう。若年層の投票率は特に低く、総務省の調査によると、30代以下は前回40%を割った。19歳投票率が25・07%と市内で最も低かった神戸市長田区。1人投票すれば0・1%以上、誘い合わせて8人で行けば1%余りも上昇する。
 では、投票率が上がれば、何が変わるのか。議員の意識を自分たちに向けることができる、と思う。票の数によって勝敗が決まるという選挙の性質上、投票率の高い地域や世代は「気になる存在」に違いない。その視点を持って投票するならば、たとえ票を投じた候補者が落選したとしても「死に票」にはならないはずだ。
 選挙結果は変わらない、でも変えられるものがある―。1票の意味をあきらめたくない。

(2022年6月27日付朝刊より)


3年前の前回参院選では、兵庫選挙区の投票率が48・60%と5割を切り、2016年の前々回を5・14ポイント下回りました。県内41市町のうち、市川町を除く40市町で前回比マイナスとなっており、コラムでも触れられている通り、有権者の半数以上が投票所に足を運ばなかったことになります。

確かに、1票を投じたところで、何も変わらないかもしれない、実際は変わりうるのだろうけど、実感が得られない。しかし、ごくごくわずかながら、投票率は確実に変えることができる。そして、その積み重ねこそが、変化につながっていく―。
そんなことを伝えてくれるコラムです。

最後に、個人的な見解を。

「投票では何も変わらない」という言葉は、1票を投じた人が言うからこそ、説得力があると思っています。


<シャープ>
「郵政解散」の翌2006年に入社。今回の参院選では、候補者の動向を取材する通称「候補担(こうほたん)」を務めています。選挙を「内側」から追い掛けていると、有権者ら、一般的な「外側」からの視点を見失いがちに。肝に銘じて、日々取材しています。

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