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「529=かつめし」。そんなん読める?!な語呂合わせ話題3選

突然ですが、「いろやさしく~、こ~べしんぶん~♪」という歌を聞いたことがありますか? かつての神戸新聞テレビCMで、最後に流れていた歌です。「いろやさしく」は「168349」。神戸新聞販売局のフリーダイヤル「0120-16-8349」を覚えてもらうための語呂合わせでした。記者きんぎょばちは大阪出身ですが、野球中継の合間にサンテレビで流れたその歌と電話番号が、今も耳に残っています。

さて、日付や番号を覚えてもらうための語呂合わせ。「なるほど!」と感心する語呂合わせもあれば、中には「無理やり過ぎる…」と首をかしげたくなる語呂合わせも。今回は神戸新聞の過去記事から、数字の語呂合わせにまつわる話題を紹介します。「529」「4269」「1023」は、それぞれ何と読むでしょう? まずはこんな記念日から。

①5月29日=「V」+「肉」の日。

 食を通じた地域活性化に取り組む「うまいでぇ!加古川かつめしの会」は、加古川名物「かつめし」の記念日を5月29日に定めた。加古川市役所前広場であった商工祭「加古川楽市」で発表した。「かつ」から勝利を意味する「ビクトリー」の頭文字「V」をローマ数字に読み替えて5月に、食材の「にく」の語呂合わせから設定したという。
 かつめしを取り扱う飲食店や市民らでつくる同会は、さらなるPRにつなげようと、記念日の日付を募集。市内外から103件の応募があり、選考委員会を経て、決定した。
 提案したのは相生市の男性で、25年ほど前に加古川市内で勤務し、かつめしをよく食べていたという。加古川楽市で記念品として1万円相当の加古川和牛の目録を受け取り「かつめしは縁起の良い名称。受験生やスポーツ選手に広めてもらえたら」と話した。

かつめしの日

(2016年9月20日付朝刊東播版より)

「勝つ」=「Victory」=「V」=「5」という力技。解説されなければなかなか分かりません。加古川市内ではこの「かつめしの日」前後、かつめしスタンプラリーやグルメイベントが催されることもあるそうです。

このように、ご当地グルメをPRする前向きな語呂合わせもあれば、数字が意図せずネガティブな語呂合わせになってしまったことも…。

②「4269(死に向く)」「4250(死にごろ)」?! 病院直通バスのナンバープレートが…

 三木市内から北播磨総合医療センター(小野市)へ向かう直通バスのナンバープレートが物議を醸している。一部の車両の番号が「死に」と読める「42」から始まり「病院へ向かうのに縁起が悪い」との声が上がる。人によっては4や9を使うこと自体を嫌うなど、数字への思いには個人差もあり、担当者は頭を抱えている。
 直通バスは、三木市が補助金交付要綱を定め、2つのバス会社が2013年10月から自主運行する。予備車両を含めて22台あり、うち13台が同じ小型ノンステップバスで、登録時の番号が「42」で始まっていた。
 運行開始直後から、市役所やバスの運転手に「不吉だ」と苦情の声が相次いだ。11月末、特に不評だった「4269(死に向く)」「4251(死に来い)」「4250(死にごろ)」などと読める3台の番号を変更。その後、特段の苦情はなかったというが、2014年8月19日の市会総務建設常任委員会で、委員から「42から始まるバスには、乗りたくないという人がいる」との指摘があった。
 バス会社は「番号は登録順に振られるものなので…。病院へ行くという特別な路線なので、できる限り対応はしたい」。ただ、番号を変えるには神戸運輸監理部(神戸市)へ車を持って行かねばならない上、費用も掛かってくる。市の担当者は「費用対効果も考える必要があり、判断が難しい。まずは、どのくらいの人が不快感を持っているのか調査したい」と話した。

死にバス

(2014年8月23日付朝刊三木版より)

この後、三木市ではバス交通の見直しがあり、医療センターへの直通バスは2015年10月以降、路線バスやコミュニティーバスとの区分をなくして一体運行するようになりました。

マンションの部屋番号でも「4」や「9」を除いた物件がありますよね。縁起担ぎをどこまで気にするかは人によりますが、語呂合わせが市議会の常任委員会で取り上げられるとは驚きです。委員会を傍聴取材した記者によると、4桁の数字を巡ってまじめな議論が交わされていた、とのことでした。

さて、2021年は兵庫県の選挙イヤー。3本目は選挙の投票日にまつわる語呂合わせを紹介します。

③「10(父さん)23(兄さん)」の語呂合わせ啓発で、投票率はどうなった?!

 「とうさん にいさん ご一緒に」。神戸市選挙管理委員会は、2005年の神戸市長選投票日の「10月23日」に掛けたキャッチフレーズをポスターに掲載した。3万8千枚を公共施設や駅などに張り出す。「とにかく投票日を覚えてもらわないことには」と担当者は話す。
 サラリーマンや学生向けの新たな取り組みとして、10月8日から地下鉄「三宮駅」に登場するのはエスカレーターを使った啓発。新神戸行きホームの上りエスカレーターの手すりに「10月23日 神戸市長選」などの文字を張りつけ、1日約11万人の乗降客の手元からPRする。
 啓発ポスターと連動して「父さん」「兄さん」が登場するテレビCMも9日と16~23日に放映。本数を前回の4倍に増やすほか、早朝、深夜にも流して幅広い世代に伝える。
 市選管は「有権者の視覚や聴覚に訴え、記憶に残る啓発を心がけた。これまでとは違う新鮮な内容に有権者の関心が少しでも高まれば」と期待している。

(2005年10月8日付朝刊神戸版より)

各自治体の選挙管理員会は、さまざまな啓発活動で投票率アップを目指します。2005年の神戸市長選では、投票日の語呂合わせで投票を呼び掛けました。が、ふたを開けてみると投票率は30・23%。2001年市長選の投票率が38・14%だったので、前回より8ポイントも下がる結果となりました。一方、この市長選では44年ぶりに男性の投票率が女性を上回ったという話題も。その後の記事によると、「父さん、兄さんという呼び掛け通りに男性が応じたわけではないだろうが、今後の投票率アップの参考にしたい」と市幹部は話していたそうです。ちなみにこの後、神戸市長選の投票率は次のように推移します。

2009年=31・51%

2013年=36・55%

2017年=47・58%

2017年は衆院選と同日投開票だったことが影響し、投票率が急上昇したとみられます。さて、それから4年が経過した今秋、神戸市長選が予定されています。選管はどんなPRをし、どんな投票率となるのでしょうか?

ここまで数字の語呂合わせにまつわる記事3本を紹介しました。兵庫県内には他にも、「5月10日=篠山まるごと丼の日」「9月23日=国生みの日」など語呂合わせで決まった記念日があります。

ところで、このように語呂合わせで日付を読む習慣は、日本だけなのでしょうか? 2018年にこんな記事がありました。

 日付を語呂合わせで読む習慣は、日本語以外の文化圏にもあるのだろうか。英会話学校大手「ECC外語学院」三宮校に尋ねると、米国では「ない」とのこと。ただ、円周率(π、パイ)にちなんで3月14日を「パイの日」と呼び、パイを食べて祝うことはあるらしい。
 同じく三宮にある中国語学校にも聞いてみた。電話で対応してくれた中国人の女性は「520の読み方(ウー・アー・リン)が、『あなたを愛しています』を意味する「ウォー・アイ・ニー」の音と似ているので、5月20日に恋人がプレゼントを贈り合ったりすることはあります」と教えてくれた。「でも、基本的には中国にもほとんどないと思います。日本語は面白いですね」
 武庫川女子大言語文化研究所の佐竹秀雄さんは「同音語が多く、数字の読み方がいくつもある日本語ならではの文化。俳句や和歌、落語など、日本人は昔から言葉遊びが大好きなんですよ」と話す。その上で「関西人としては、単なる語呂合わせだけでなく、米国の『パイの日』のように、少しひねった、それでいて面白い記念日の登場にも期待している」と注文した。

(2018年11月21日付夕刊より)

PRに苦心するのは民間も行政も同じ。あっと驚く語呂合わせの登場に、今後も期待です。

<記者きんぎょばち>入社14年目。人の誕生日を覚えるのが苦手で、1カ月以上過ぎてから「遅くなったけど誕生日おめでとう!」とお祝いメッセージを送りつけることがある。ごめんなさい。

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