それ、ほんま?読者から寄せられた「効果抜群」のおまじない
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それ、ほんま?読者から寄せられた「効果抜群」のおまじない

神戸新聞で半世紀続く電話投稿コーナー「イイミミ」には読者の身近な声が届きます。うれしいこと、腹の立つ出来事、悲しい話…。困りごとの相談にはよく、「おまじない」のアドバイスが寄せられます。さらに実際に試した人から成功体験や感謝の言葉が届くこともしばしばあります。「まさかそんなことが…」といぶかしがっているあなた━━。だまされたと思ってしばらくお付き合いください。播州人3号が紹介します。

だれもが気軽に投稿できるのが「イイミミ」です。

1971年に開局し、今年がちょうど50年です。
電話やファクスで声を募り、語り口調のまま掲載します。

困りごとや相談が掲載されると、それに対する助言が別の読者から寄せられ、さらに新たな情報が届き、紙面がまるで井戸端会議のように盛り上がります。

▢ ■ ▢ ■ ▢ ■ ▢

過去に掲載された「おまじない」では「失せ物」「なくしもの」が特に目立つようです。

「思い当たるところを捜したのに、どうしても見つからない」

当人にとっては重大問題です。藁にもすがる思いでイイミミに相談します。

▼なくしたのは私?

 もう1カ月ほど捜しものをしているんです。車検用に主人から渡された…はずのお金。主人は銀行から下ろして私に渡したと言い、私は渡された覚えがないんです。でも、しょっちゅう子供のことや炊事でバタバタしているから、もらって、しまい込んだのかも。そう思って、あらゆる所を捜し回りましたが、駄目。主人が「自分のヘソクリにしたん違うか」言うから「渡した“つもり”だけと違うの」と応戦。日がたつにつれ、何をしていたときだったかも思い出せません。入れたとしたら、介護ヘルパーの仕事で出かけるときに持って行くかばん。うせ物が出るおまじないとか、ないのかなあ。(加西、主婦、42)

  (2005年11月22日夕刊より)

反響はすぐにありました。

▼はさみさんにお願いを

 「うせ物が出るおまじないを教えて」とありました。実母の姉に聞いたおまじないです。まず、はさみを一つ用意します。特に裁ちばさみがいいようです。次に持ち手を下にし、柱や壁に沿って立たせます。できれば家具の上など、目線より下にならない場所へ置きましょう。そして「はさみさん、はさみさん、○○がなくなりましたので、一緒に探してくださいね」と手を合わせてください。うちではこれまで、母の財布やリモコン、大切な書類などたくさんのものを発見。成功率は90%です。(南あわじ、主婦、39)◇友達から聞いたおまじないは「清水(きよみず)の お滝の水の凍るとも ○○の出でぬことなし」と、3回唱え、心当たりを探すとよいそうです。4、5年前聞いたのを思い出しました。(篠山、主婦、75)

 (2005年11月28日夕刊より)

同じはさみを使ったまじないですが、ひもでつるす方法も紹介されていました。

▼ひもではさみをつるす

 はさみを使ううせ物のおまじないの話。私は、はさみを持つところにひもを通して、危なくないよう、台所などに「財布がなくなったのでお願いします」と書いたメモと一緒につるします。15年ほど前、和紙屋の奥さんに教わりました。心の中で唱えながら、ゆっくりした気持ちで探します。震災で家が壊れたとき、いろんなものがそうやって見つかりました。(神戸・垂水、主婦、75)◇はさみにひもを通して、タンスの取っ手にぶら下げ「出てきますように」とお願いします。へそくりの隠し場所や印鑑なんか、しまった所をよく忘れますが、大丈夫です。(加古川、主婦、63)

 (2005年12月5日夕刊より)

紙面で紹介すると、投稿が相次ぎます。

「見つかった!?」という報告です。

▼教えてくれた人に

 以前、うせ物のおまじないが載ってたでしょ。子供が今度は定期券と財布をなくしたので「はさみを目の高さより上に立てて…」というおまじないを「すぐ出てきますように」とつけ加えてしてみました。すると、駅やら通った道やらあれだけ必死で捜しても出てこなかったのに、家の中のふとした場所から出てきました。先日もまた捜し物があり、おまじないすると、すぐ出てきて、びっくり。教えてくれた人にお礼が言いたくって。(神戸・須磨、主婦、44)

 (2006年6月23日夕刊より)

▼おまじないさまさま

 以前、載っていた「はさみをぶら下げて、なくした物の名前を逆さから読むと、うせ物が見つかる」というおまじない。これで、いろんな物が見つかったの。アルツハイマーだった母が昨年亡くなり、今年8月、きょうだい3人で大分の実家を整理しに帰ったんです。そのとき、12年前に母がなくして、いくら捜しても出てこんかった親類の結婚式のご祝儀を捜そうということになって。おまじないをしたら、翌日、タンスの底に敷いた新聞紙の下から16万円出てきました。うれしくて、泣けてきてねぇ。生命保険の証書も見つけてもらいました。教えてくれた方に感謝です。(尼崎、主婦、59)

(2006年12月26日夕刊より)

まじないの「効果」にも驚きますが、これほどなくし物で困っている人が多いとは。

米国アップルが忘れ物防止タグを開発したという記事がありました。
財布や鍵につければ、見失ってもどこにあるかがスマートフォンなどで分かる仕組みですが、こうした需要を見越した商品化だったんでしょうか。

「即効」ばかりではありません。時間がかかっても効力があります。

▼1年がかりで効果あり

 今年の1月に、結婚指輪をなくして。イイミミで「うせ物の出るおまじない」を教えてもらい、台所にはさみとおまじないのメモをつるしてたんです。それで探し続けたけど駄目。3カ月ほどして、はさみも外しました。で、先日、年末の掃除をしていると、台所の棚から出てきて。どうも去年、年越しそばを作ろうと、だし昆布を取ったときに、落としてたらしいの。1年ぶりに発見。不思議というか、おかしいというか、その棚の扉にはさみをつるしてたの。見つかったら電話を、と約束してました。(神戸・北、主婦、33)

(2007年12月27日夕刊より)

はさみと同じ刃物ですが、包丁を使ったおまじないもなかなかです。
先ほどの投稿から数年たった2015年に紹介されました。

▼包丁を赤い布か紙で

 おまじないを一つ。妹が親友のお葬式で財布をなくしたので、実際によく効いたおまじないを教えたげたんです。毎日使っている包丁を赤い布か紙に包んで、押し入れの布団の間に入れるんです。妹は葬儀のあった日に会場に尋ねたら「届いてません」で、警察や方々に届けたけど、やはり出てこず。で、おまじないをしたら、5日後、会場から「出てきた」と電話がかかってきたんですって。(神戸・兵庫、主婦、75)

(2015年8月24日夕刊より)

▼見つかったのは2回目

 孫は12日が高校入試でした。それが、前日に腕時計がないと言いだしましてね。どこを捜してもない。そこで、イイミミにあった「包丁を赤い布で巻き、押し入れの布団の間に挟んでおく」という、まじないをやったら出てきたんです。実はこのおまじないで、うせ物が見つかったのは2回目。この調子で高校に受かってくれたらいいけど。(西脇、主婦、68)

(2018年3月13日夕刊より)

高校入試前日ですから、家族全員が慌てたことでしょう。
使い慣れた時計を腕に、安心して受験会場に出掛ける中学生の姿が目に浮かびます。

紹介者が登場するのもイイミミの楽しいところです。
実体験を披露してくれています。

▼自分のおまじないで

 うせ物が出てきた話が、よう載ってます。「赤い布に包んで」って、あのおまじないを最初に電話したのは私やけど、こないだからコンビニのカードが出てこんで、捜して捜して。それで私も、赤い布に包丁包んで押し入れの布団の間に入れ、改めて捜したの。そしたら出てきました! どこにあったと思います?〈思わぬ所〉 ふふふ、毎日使ってる定期入れの裏側に入れてました。自分のおまじないで助かりました。(神戸・兵庫、無職、女、80)

 (2020年3月28日夕刊より)

紹介された手順は布団の間に収めるものでしたが、少々やり方が違っても効果はあったようです。

▼たんすの上に置いて…

 神戸市の敬老パスをなくしまして。あれ、再発行はちょっと手間でしょ。何とか出てこんもんかとイイミミで読んだまじないをしました。包丁を赤い布でくるんで、たんすの上に置いて…。〈たんすと違うて布団の間ですけど〉 そしたら福祉課から電話で兵庫署へ届いてるって。早速行ってきましたが、届けてくれた人に、ありがとうを言いたくて。(神戸・兵庫、無職、男、83)

(2020年4月28日夕刊より)

「偶然とちゃうの?」と疑いの声が漏れるかもしれません。もっと直接的に「そんなアホな」とつぶたいた方がいても不思議ではありません。

播州人3号もその1人でした。
けれど、次の投稿を読むと、赤い布が自宅にあったか、思わず考えてしまいました。

▼信じてなかったところが

 うせ物を捜すまじないで、赤い布で包丁を巻いて押し入れの布団に挟む、というのがありましたね。半年ほど前にそんなバカなと思いながら試したら、その日のうちに見つかって。でも、偶然やと思ってたん。先日、習っているハーモニカの発表会に必要な物がなくなり、そやそやと思い出し再びやってみました。そしたら、またその日のうちに出てきたんです。友達に話したら「そんなん信じてんの。かわいいなあ」と言われたけど、事実は事実。今までバカにしてたところがあったんで、ちょっと謝っとこう思うて。ははは。(小野、主婦、73)

(2021年3月5日夕刊より)

いかがですか。あくまで「個人の体験」ですが、これだけ成功談が集まるとたまたまとは決めれないような気にもなります。

一方で、こんな見方もできます。❶最初の段階で隅々まで捜しきれていなかった❷おまじないをして気分が変わった(「見つかるかも」という期待が高まった)❸結果的に、これまで捜していない場所にも当たることになり、見つかった。

とはいえ、捜し物が実際に見つかり、これだけ感謝の声が続くのであれば、もはや、まじないの効力かどうかはあまり関係ありませんね。

▢ ■ ▢ ■ ▢ ■ ▢

続いていは恐い夢の退散法です。

目覚めるまでどんな夢を見るかはだれも予想できません。
しかも、夢は1人で見るものです。家族であっても一緒に体験できないのが夢の特徴です。
それだけに恐ろしい夢はやっかいです。
かといって眠らないわけにもいきません。

▼怖い夢は見たくない

 1年ほど前、病気になり、そのためか毎晩、嫌な夢を見ます。明け方、追いかけられたり、いつも、怖い思いをして目が覚めるんです。穏やかな気持ちで眠ろうといろいろ試したけど、病気の不安は払えないようで…。怖い夢を見ない、おまじないなんて、ないのかなあ。(南あわじ、主婦、62)

 (2006年2月20日夕刊より)

こちらにも親切な助言が集まります。

▼見なくなりました

 怖い夢を見ないおまじないのこと。寝る前に布団の中で、小指を7回、軽くかみます。そして「怖い夢、嫌な夢、見ませんように」と小声で言って眠ります。昔、よく怖い夢を見て。そのときテレビで若い女性が「自分のおばあちゃんに聞いた。よく効きますよ」とこの話をしてたんです。ホントに見ないんですよ。(高砂、主婦、60)◇子供のころ母に「怖い夢みたら、どんな夢やったか、それを家族や友達に話したら見なくなる」と言われ、話したあとは、同じような夢は見なくなりました。うちの子供にも怖い夢を見たときこの話をして。そのあとは夢のこと言わなくなりましたね。もう大丈夫や、と自信になったんでしょうか。(神戸・西、主婦、34)

(2006年2月23日夕刊より)

届くのは、おまじないだけではありません。

▼見ても気にせんとき

 怖い夢の話。実は、私も毎日のように見ます。災害や事故、電車に乗り遅れたり、学生時代の試験のこともあります。それで専門家に相談したら、すごくうれしい回答をもらいました。私は、社交的でくよくよしないたちだと思っています。でも、人間だれでも抑圧されてる部分や、ストレスがどこかにたまっているはず。それを夢で発散し解消してる。だから起きてるとき、穏やかでおれる、というわけです。そうか。納得して考え方を変えました。夢は実際に起こってないのだから気にしない。毎日ただでサスペンスドラマを見られて、ラッキー。しかもそれで穏やかになれて…。これも夢のおかげ。南あわじの女性も、普段病気に前向きで、怖い夢の部分で解消されてるのでは。気にせんとき、と伝えたいです。(神戸・灘、自由業、男、49)

(2006年2月24日夕刊より)

同じ日の紙面に、新たなおまじないも登場します。

▼怖い夢のおまじない

 怖い夢を見なくなるおまじないですが、はさみなど刃物を枕の下に入れると、見なくなります。何かに包むと、危なくないですよ。(神戸・北、主婦、80)

偶然でしょうか、「失せ物」と同様、ここでも「刃物」と「包む」が出てきました。

悩みを打ち明けた女性から後日、声が届きました。

女性がまじないに頼ったかどうかは不明ですが、2度目の投稿からは前向きな姿勢が感じられます。

▼怖い夢も克服できそう

 「怖い夢は見たくない」と電話した者です。その後たくさん、おまじないや対処法を助言していただいて、本当に感謝しています。読んでいるうちに、何だか明るい気持ちになってきました。病気のことも前向きに考えられるようになったんです。少しずつ元気が出てきました。みなさんのおかげです。(南あわじ、主婦、62)

(2006年2月28日夕刊より)

恐い夢の悩みは、それから10年以上たった後、再び登場していました。

▼怖い夢から逃れたい

 毎晩のように怖い夢を見ます。もう何年になるかしら。暗い所に引き込まれる、物陰から泥棒が出てくる。「やめてー!」「助けて!」の自分の声で目が覚めたり、逃げるためにベッドから落ちたり。私の落ちた音で主人が目を覚ましたことも。昼間に運動したり、寝る前にお酒を飲んだりしたら眠れそうなのに、それも駄目で怖い夢を見るんです。おまじない、体操、アロマ、心療内科…どれでもいいから、いいという方法を教えて。(加古川、自営、女、75)

(2017年11月6日夕刊より)

皆さんの予想通り、今回も親切な助言が複数届きます。

▼枕の下のおまじない

 怖い夢の話。友達が「刃の付いた物を枕の下に」って。まじないやね。刃物も怖かったけど、小さいはさみとか刃を出してないカッターナイフとか使いました。それ以来、見ませんわ。(神戸・須磨、主婦、85)◇寝るとき枕の下に鏡を上向きに敷いて寝ると、100パーセント見なくなったよ。(淡路、無職、男、81)

(2017年11月8日夕刊より)

こうやってイイミミは50年続いてきました。

イイミミのほかの投稿はこちらにありますのでご覧ください。

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最後のまじないは「めばちこ」です。
「ものもらい」とも呼びます。目覚めると、突然まぶたが腫れていて慌てることがありませんか。

▼畳にこすりつけて

 こだまに、めばちこのことが載ってました。子どものころ、めばちこができると、祖母がツゲのくしを畳にこすりつけ、おまじないの言葉を唱えて、めばちこに当ててくれました。くしが熱くなって、怖かったのを覚えています。でもそのあと、治ったんでしょうね。〈まじないの言葉って?〉 うーん、忘れました。(篠山、主婦、62)

(2016年1月20日夕刊より)

「こだま」とはイイミミで読者の投稿とともに掲載される担当者コラムです。
摩擦による熱が関係しているのでしょうか。ここでもまじないが紹介されています。

◆めぼかと思たら―

 「めばちこ」を治すおまじないの話。ツゲのくしを畳のへりでこするのは同じですが、祖母は「めぼかと思たら 小豆であった」を3回繰り返してました。不思議と効いたんですよ。おまじないの言葉、いろいろあって面白いですね。(神戸・須磨、主婦、67)

(2016年2月5日夕刊より)

▼ざるで隠してのぞく

 うちは、つるべで井戸水をくんでますが、それでめぼ(めばちこ)のおまじないを思い出しました。ざるで、めぼのできた方を隠して井戸をのぞき「めぼができました。治ったら、顔を全部お見せします」と唱えるんです。すると、すぐ治ります。で今度は、井戸をのぞいて「ありがとうございました」とザルを外した顔を見せるんですよ。うふふ。(加東、主婦、70)

(2016年2月26日夕刊より)

いずれも何らかの「効果」があった(あったと感じる人がいた)から伝承されているのでしょうね。

ちょっとお節介で、こんなにも親切な人たちが世の中にはいる――。
イイミミを読むたびにそう感じています。

<播州人3号>
1997年入社。小学生のころ、めばちこのまじないを体験しました。井戸端へ連れられ、祖母が「イモかと思たらマメやった」と唱えながら、井戸水で濡らした手でめばちこに触れると、効果覿面、翌日には治っていました。今回紹介したイイミミを読むと、「イモ」は「めぼ」だったかもしれませんが、祖母は20年以上前に他界し、確認のしようがありません。せめてやり方を習っておくべきだったと、突然のめばちこに市販の目薬をさすたびに思います。

#まじない #失せ物 #刃物 #赤い布 #恐い夢 #めばちこ  



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兵庫県の地方紙「神戸新聞」です。過去記事の中から、記者らがテーマごとに独自の視点で選び、背景や取材の裏話などとともに紹介します。ゆかりの有名人の逸話や、ほっこりする地域の話題など兵庫の魅力を、毎週水曜正午と土曜午後6時に投稿します。「おもろい」と思われた方、ぜひフォローください