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「峯」「峰」「嶺」。「取り扱い注意」の姫路の地名

播州人3号です。難読地名を何度か取り上げてきましたが、われらが播州・姫路には、市民でもどっちやったっけ?と迷う地名や施設があります。世界遺産・国宝姫路城に近く、あの戦国武将ゆかりの地で使い分けられる「みね」の字について紹介します。

「難読」を紹介する投稿はこちら

駆ける馬に豊作願い
姫路・広峯神社で「祈穀祭」

 秋に収穫する米の作柄を占い、豊作を祈る「祈穀祭(きこくさい)」が18日、姫路市広嶺山の広峯神社であった。千年の伝統を誇る祭りに大勢の人が詰め掛け、各神事に見入った。
 同祭は市の無形民俗文化財で、3日にあった「御田植祭(おたうえさい)」に続く一連の神事。二つの祭りを通じ、五穀豊穣(ほうじょう)を祈願するという。
 今年の豊作の品種を占う「穂揃式(ほぞろいしき)」では、個人や神社などが稲穂を奉納した。宮司らが作柄を占い、今年は晩稲(おくて)、早稲(わせ)、中稲(なかて)の順に実りが良いという結果になった。
 続く走馬式では、武官装束姿をした男性が随神門前と拝殿前から3頭の馬を走らせ、豊作を祈念。馬が力強く疾走するたび、参列者から歓声が上がった。
 園児38人と訪れた保育士は「作物が育つことを願いながら、子どもと一緒に楽しく拝見しました」と話していた。

(2014年4月19日付朝刊)

羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)に仕えた戦国武将、黒田官兵衛ゆかりの神社で、NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」(2014年)では岡田准一さんが官兵衛役を演じました。
司馬遼太郎の歴史小説「播磨灘物語」では、官兵衛の祖父重隆が、ここで眼病に効くというメグスリノキで作った軟膏(なんこう)で財を成し、頭角を現したと書かれています。

注目は神社名(広神社)と地名(姫路市広山)です。
」と「」。2つの「みね」があります。

使い慣れているのは「」の字と思われた方。
ちゃんとあります。神社近くの小学校に。

広峰地区に青パト

 広峰地区連合自治会は3日、青色防犯パトロールカー(青パト)の新車を8年ぶりに導入した。午後1時から広峰小学校で出発式があった。同自治会は2007年から同小学校の下校時間に合わせ、見守り活動を行っている。

(2017年11月4日付朝刊より)

ちなみに先ほどの広神社のある山は、広山と言います(念のためですが、広神社の地名は姫路市広山です)。
なるほど地名には「」を使って書き分けるのかと思われそうですが、そう単純ではありません。

近くに姫路競馬場があり、競馬場から広山が見えます。
新型コロナワクチンの大規模接種会場にもなりました。

コロナワクチン 知事が接種会場視察
姫路競馬場 若い世代の状況確認

 新型コロナウイルスワクチンの若い世代への接種状況を確認するため、兵庫県の斎藤元彦知事は7日、ワクチンの大規模接種会場となっている姫路競馬場(姫路市広峰2)を視察した。
 県は今月から姫路競馬場と園田競馬場(尼崎市)に設けている大規模接種会場で、若年層(16~39歳)への優先枠を新設。姫路では現在、1日当たりの最大接種枠千人中、200人分を割り当てている。
 この日は競馬場内に設けられた特設会場で、接種の一連の流れを確認。会場で1回目の接種を済ませた若い男性に声を掛け、予約の取りやすさや、会場へのアクセスのしやすさなどを尋ねていた。
 視察を終えた斎藤知事は「平日にもかかわらず若い世代が多く、想定以上に接種が進んでいるように感じた」とし、「優先枠をさらに拡大するなどして、年度内に県全体で接種率8割を目指したい」と述べた。

(2021年10月8日付朝刊より)

お分かりでしょうか。競馬場のあるのは「姫路市広2」です(何度も書きますが、広神社は姫路市広山です)。

もうしばらく「みね話」にお付き合いください。
小学校の同じ敷地に中学校があります。
姫路市立広中学校です。

けが応急処置など学ぶ
広嶺中で訓練
自衛隊員が講師

 広嶺中学校(姫路市峰南町)で4日、自衛隊員から災害対応を学ぶ訓練があった。全校生徒約470人が参加し、けが人の応急処置などを学んだ。
 同校は陸上自衛隊姫路駐屯地に隣接することから、同駐屯地や自衛隊兵庫地方協力本部姫路地域事務所の協力で実現した。訓練は学年ごとに3グループに分かれ、けがの応急処置や土のうの作り方、避難所運営などを順番に実施した。
 骨折の応急処置の体験では、長方形に切った段ボールを腕に添え、シーツで縛ってビニール袋で首からつり下げた。身の回りの物で担架を作ったり、傷口を止血する方法なども学んだ。

(2019年12月5日付朝刊より)

小と広中。
漢字の使い方に注意が必要ですね。ただ、それだけではありません。
小学校は「ひろみね」ですが、中学校はなんと「こうりょう」と読みます。

紛らわしい漢字表記に読みまで加わってさらに複雑になりますが、当然、地元の方はきちんと使い分けます。

気を付けなければならないのは原稿を書き、見出しをつけるわれわれです。
固有名詞の間違いは「訂正」記事につながり、せっかく取材に応じてもらった人に迷惑をかけます。
そのため姫路本社に赴任した記者やデスクは「みね」のつく地名や施設の早見表を手元に置いて、そのつど確認しています。

<播州人3号>
1997年入社。姫路勤務時代に何度か広神社を訪れました。神社のある広山頂まで車で上れます。標高は200メートルちょっとと、それほど高くはありませんが、市街地が一望できます。山はお城の北側にあるため、ここから眺める姫路城も優美で、お薦めです。

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