神戸で出合うドイツ語の店
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神戸で出合うドイツ語の店

播州人3号です。神戸の催しの名前にイタリア語が多いことについて先日紹介しました。国際都市・神戸と外国語との関係を探る第2弾として、今回はドイツ語の名前のついたカフェを取り上げます。

「神戸ルミナリエ」など、神戸に多いイタリア語の催しの投稿はこちら

まずは神戸観光の流れをつくったといっても過言ではない「フロインドリーブ(FREUNDLIEB)」です。
新神戸駅に近い教会を改装したカフェが観光客らでにぎわっています。

パン屋さん 新名所 神戸に誕生
教会 変身 礼拝堂はカフェに

 昭和初期に建てられた神戸市内の旧教会が、ドイツパンと菓子のしにせ「フロインドリーブ」の本店として生まれ変わり、11日にオープンする。「フロインドリーブ」は、異人館ブームの火付け役となったNHKの連続ドラマ「風見鶏」のモデルとして知られ、カフェもある新店舗は、北野異人館街にも近く、神戸の新たな観光スポットとしても注目を集めそうだ。
 この建物は、神戸市中央区生田町にある旧「神戸ユニオン教会」。1929年に完成した。製薬会社「近江兄弟社」の創業者で、関西学院や神戸女学院などを設計した、建築家のW・メレル・ボーリズの作。ゴシック様式で、鉄筋コンクリート3階建て、延べ面積約1100平方メートル。震災前に同教会が移転し、その後は使われていなかった。
 「フロインドリーブ」は阪神・淡路大震災で同区中山手通の本店や須磨区の工場が被災。約半年間、休業を余儀なくされた。その後、本店と工場を1カ所に集約するため、約2年前にこの建物を取得した。
 工事では、黄色い外観はそのままに、内部を改修。天井の高さ約10メートル、広さ約200平方メートルの旧礼拝堂(2階)は、往時の雰囲気を残しつつカフェに、旧集会室(1階)は、パンや洋菓子の売り場に改修した。今年九月には、国の登録文化財に認定された。また隣接地には新たに工場・倉庫棟を建設した。
 社長のヘラ・フロインドリーブ・上原さん(54)にとって、旧教会は幼少時に日曜学校へ通ったり、結婚式も挙げた思い出深い場所。上原さんは「伝統ある建物に新たな生命を吹き込むことができた。地域の皆さんに愛される店へ、これからも頑張りたい」と話している。

(1999年11月10日夕刊より)

記事にもありますが、NHK連続テレビ小説のモデルとなり、放映後は神戸・北野の異人館街に観光客がどっと押し寄せました。
神戸市は「風見鶏」の放映開始日の10月3日を「KOBE観光の日」と定めています。それほど神戸観光への貢献が大きかったということなのでしょう。

ドイツ語で豚の耳という意味の「ミミパイ」やクリスマスの季節に食べる伝統菓子「シトーレン(シュトーレン)」なども人気です。

学生時代、ドイツ語に苦労したせいか、街中でお店の看板や包装紙の文字を見て、もしかしてドイツ語?と気になることがあります。
フロインドリーブもその一つでした。ただドイツ語の教科書通りに読めば、フロインリーになるはずなのですが、人名だからでしょうか、フロインドリーブが正式なお店の名前です。

▢ ■ ▢ ■ ▢ ■

次に紹介する店のバウムクーヘンをご存知の方も多いでしょう。
日本で最初にバウムクーヘンを手掛けたとされる「ユーハイム(Juchheim)」です。
兵庫県内の企業の名前の由来などを紹介する「ひょうご社名辞典」で取り上げられていました。

 母国ドイツでは「お菓子の王様」と呼ばれるバウムクーヘン。日本で最初に作ったとされるのがユーハイム(神戸市中央区)だ。同社の代名詞であるこの菓子は、創業者であるドイツ人菓子職人のカール・ユーハイムとともにドイツから中国、横浜を経て、神戸へたどり着いた。
 カールは1906年、当時ドイツの租借地だった中国・青島へ。その後、青島は日本が占領し、強制連行されてしまう。捕虜生活から解放された直後の21年、横浜で開店したが、2年後に関東大震災で店を焼失、神戸へ避難した。開店後、目新しいバウムクーヘンは飛ぶように売れたが、太平洋戦争の勃発(ぼっぱつ)やカールの死で店は再びなくなった。
 終戦で戻ってきた日本人職人らが遺志を継ぎ50年に再開。バウムクーヘンは神戸を代表する洋菓子として育つ。95年の阪神・淡路大震災で被災したが、全国から応援の気持ちとともに注文が届いた。
 幾度の戦禍や災禍に翻弄(ほんろう)されながらも消えることのなかったユーハイムの灯。近年はロゴマークの変更や異業種デザイナーとの商品開発など経営革新に挑む。「革新が伝統を築く」というカールの言葉を受け継ぎ、洋菓子界の王様を目指す。

(2009年6月9日付朝刊より)

フロインドリーブの創業者、ハインリッヒ・フロインドリーブさんもカール・ユーハイムさんと同様、中国で捕虜になって神戸にやって来ました。
ドイツのパン・洋菓子文化を神戸に根付かせた2人とも時代のうねりに大きく影響されていたんですね。

ユーハイムの本店は神戸・元町の商店街にあり、カフェが備わっています。
カフェの壁には古いドイツの写真が飾られていて、繁華街にあるとは思えないほと落ち着いた雰囲気でくつろげます。

最近はバウムクーヘン向けのオーブンを開発して注目されました。
AI(人工知能)を搭載し、熟練職人並みの焼き加減に調整できるそうです。

ユーハイムがAIーブン
バウムクーヘン専用、焼き色判断

 洋菓子のユーハイム(神戸市中央区)は30日、人工知能(AI)搭載の業務用オーブンを報道向けに公開した。バウムクーヘン専用。芯棒の周囲に何層も生地を重ね焼きする作業で、AIが熟練の職人と同じように焼き色を判断する。
 生産性を高める取り組みとして、IT企業のアバターイン(東京)と共同開発中。この道40年の職人が添加物を使わずに焼く技術を、AIに学習させた。画像センサーで焼き具合を解析し、無人で職人と同等の仕上がりになるという。
 バウムクーヘン発祥のドイツで製菓職人を目指す少年―との設定で「テオ」と命名した。ユーハイムは2021年3月、店舗や展示の複合施設を名古屋市に開設予定。AIオーブンも置き、焼き上げたバウムクーヘンを来場者に販売する。
 同社は職人技術の継承に加え、新たな販売ネットワークの構築や、消費者が焼成を体験するサービスなどにも生かすとしている。

(2020年12月1日付朝刊より)

最後は「ケーニヒスクローネ(KönigsーKrone)」です。
「王様の冠」の意味です。
同社のキャラクターのクマも王冠を頭に載せています。

幾層にも重なって筒状になったパイ生地にカスタードクリームとあずきあんが包まれるクローネが有名です。
こちらは当初、「コルネ」の名で売り出したようです。けれど、店名の響きから客が「クローネをください」と呼ぶようになり、そのまま定着した、と以前の紹介されていました。

2013年に神戸・三宮にホテルが開業します。

「ホテルケーニヒスクローネ」開業

 洋菓子メーカーのケーニヒスクローネ(神戸市中央区)が17日、神戸・三宮に直営の「ホテルケーニヒスクローネ神戸」を開業した。宿泊客に「ウエルカムスイーツ」として自社の洋菓子を振る舞うなど、女性を意識したサービスを行う。
 旧居留地の近くに位置し、10階建て94室。以前は同社の洋菓子店と駐車場があったが、店の建て替えを機にホテル事業への参入を決めた。
 1、2階はカフェで、宿泊客にはバイキング形式の朝食を提供する。焼きたてのパンやケーキを並べるほか、果物は丸ごと出して宿泊客が自分で皮をむいて新鮮さを楽しむスタイルにするという。
 最上階は女性限定フロア。全客室に「レモン」「ピスタチオ」など洋菓子にまつわる名前を付け、連想するカラーで内装や家具を統一した。枕やスリッパなどには同社の子グマのキャラクター「ポチ」をあしらっている。

(2013年12月28日付朝刊より)

カフェの名前は「くまポチ邸」です。
女性客が多い印象ですが、2階はゆったりと広く、さまざまな椅子やソファが並びます。
アイスコーヒーのグラスがかなり大きめで、ゆったりと過ごせるので取材の合間などによく利用しました。

▢ ■ ▢ ■ ▢ ■

ドイツ語には英語で使わない「ä」や「ö」の文字があったり、発音方法が特徴的だったりしますが、神戸っこたちは違和感なく店名を口にしています。
神戸を訪れた際、お店のネーミングについても注目してみてください。

<播州人3号>
1997年入社。神戸ではドイツ語のベーカリーもよく見かけます。フロインドリーブもそうですが、ドイツの製法で焼かれたパンが味わえます。その影響もあるのでしょうか、神戸市民は全国有数のパン好きという調査結果もあり、「パンの博物館」開設の構想も進んでいます。

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兵庫県の地方紙「神戸新聞」です。過去記事の中から、記者らがテーマごとに独自の視点で選び、背景や取材の裏話などとともに紹介します。ゆかりの有名人の逸話や、ほっこりする地域の話題など兵庫の魅力を、毎週水曜正午と土曜午後6時に投稿します。「おもろい」と思われた方、ぜひフォローください