「レビュー・カンパニー」の面目躍如。タカラヅカはやっぱり夢の国です。
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「レビュー・カンパニー」の面目躍如。タカラヅカはやっぱり夢の国です。

初めまして。森くまです。現在、文化部でデスクをしながら文化、芸能全般の取材もしています。昨年、コロナ禍のさなか、宝塚歌劇団名誉理事・特別顧問の演出家、植田紳爾さんにインタビューしたのをきっかけに、約15年ぶりに宝塚取材も再開しました。そのとき植田さんは「レビュー・カンパニーと冠している意味をいまいちど、かみしめる必要がある」とおっしゃっていましたが、その後の各組の舞台を見て納得。歌、ダンス、芝居、ショー(レビュー)のいずれもレベルの高さにびっくり!その感動と共に、最近の公演を振り返りながら、あらためてタカラヅカの魅力に迫ってみたいと思います。

まずは6月に宝塚大劇場で開幕した宙組公演から。
今や宝塚を代表する男役トップと言っても過言ではない真風涼帆と、これがお披露目となる新トップ娘役、潤花が見せます。

ミュージカル「シャーロック・ホームズ The Game Is Afoot!」では、19世紀ロンドンを舞台に英国トラッドの衣装、メロウな主題歌が重厚な芝居を彩ります。

新コンビへの期待高まる
宙組「シャーロック・ホームズ」など上演
新トップ娘役・潤花お披露目


 宝塚歌劇団宙組の「シャーロック・ホームズ The Game Is Afoot!」「Délicieux(デリシュー)!―甘美なる巴里(ぱり)―」が上演されている。新トップ娘役・潤花(じゅんはな)の宝塚大劇場お披露目公演で、トップ真風涼帆(まかぜすずほ)演じる探偵ホームズの心を揺さぶる詐欺師役。大人の女性の雰囲気を醸しだす堂々とした演技に、新トップコンビへの期待が高まる。
 「ホームズ」の舞台は19世紀ロンドン。実際にあった「切り裂きジャック」による連続殺人事件を背景に、裏社会を操る数学者、モリアーティ教授(芹香斗亜)との対決を描く。
 知的でスマート、ユーモアのセンスもあるホームズのイメージを体現するのが真風。「演技する上で大切にしている」という洞察力と観察力が、人物像に反映されている。
 対する潤は、165センチの身長を生かし、存在感は見劣りしない。2016年に初舞台、昨年9月に雪組から組替え。今年2月、真風の2人目の相手役に就任した。「(真風がつくる)空気感に応えたい」と話していた通り、男性を手玉に取り、ホームズとも対等に渡り合える知的な女性を落ち着いた演技で見せている。

涼風3

真風涼帆

潤花

潤花
 真風と2人、「アダルトな」雰囲気で、冒険活劇の要素が強調されがちなホームズの物語にあっても、宝塚らしい男女の情愛を無理なく表現していた。
 重厚な芝居とは打って変わり、「デリシュー」はスイーツをテーマにした色の洪水のようなレビュー。シャンソン、ラテン調のシャンソン、フレンチポップス、チャイコフスキー「くるみ割り人形」のアレンジなど、耳なじみのあるナンバーに乗せ、最後まで祝祭的な雰囲気にあふれる。
 序盤から出演者総出でカンカンを踊るなど、ギアはいきなりトップに。続く「王妃のお茶会」場面では男役の芹香がマリー・アントワネットに。生き生きとしてコミカルな王妃の側面を見せる。演出家・野口幸作の「レビューにはコメディーが必要」というポリシーが随所にうかがえる。
 圧巻は巨大なマカロンを積み重ねた「マカロン・タワー」。これが初舞台となる107期生がタワーに並んで登場、そのままラインダンスへつなぐド派手な演出で終盤を盛り上げる。
 これでもか、これでもかと繰り出される甘くておいしいスイーツに、観客はもう〝おなかいっぱい〟。最高に幸せな気持ちになる。
 8月2日まで。同21日~9月26日、東京宝塚劇場で。

   (2021年7月21日付朝刊より)

お芝居はもちろん、後半のレビューの豪華さといったら!
幕開け、ファンのみなさんが、お菓子の飾りが付いたペンライトを手に、主題歌に合わせて揺らします。
舞台と一体となれる演出でお客さんの心をわしづかみにします。

レビューの目玉の一つ、マカロン・タワーは「この舞台装置、張り込みました」(演出家)というように、本当にきらびやか。
次々に繰り出される歌とダンスに加え、こんなに豪華な舞台美術も、宝塚ならではでしょう。

もうひとつ、そんなレビューの魅力を堪能できた公演を紹介します。

春に行われた花組公演です。長年にわたり「男前っぷり」を見せてくれた瀬戸かずや、トップ娘役華優希の退団公演でもありましたが、公演途中で緊急事態宣言が発令、大半の公演が中止に。

宝塚大劇場での千秋楽は無観客上演、ネット配信されたことでも話題となりました。

宝塚歌劇 花組公演「アウグストゥス-尊厳ある者-」開幕


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花組トップの柚香光
 宝塚大劇場(兵庫県宝塚市栄町)で花組公演「アウグストゥス-尊厳ある者-」が開幕した。ローマ帝国の初代皇帝となるオクタヴィウスを、迷い悩む生身の人間としてトップの柚香光が体現。登場するとその周りが輝くような圧倒的な存在感と演技力の幅広さを示した。

 ■重厚な歴史ドラマ 生オケも復活

 政敵ポンペイウスに勝利したカエサル(夏美よう)は独裁を強め、これに危機感を抱く者たちはローマの共和政を守るため、側近のブルートゥス(永久瀬せあ)に立ち上がるよう迫る。そして彼はカエサルを暗殺。ところが遺言にあった後継者の名はブルートゥスでも、カエサルの腹心だったアントニウス(瀬戸かずや)でもなく、オクタヴィウスだった。
 ローマの平和を願い、争いを避けようとするオクタヴィウスだが、大叔父カエサルを殺したブルートゥスには憎しみを抱くように。柚香はその心情の変化を強いまなざしで表現する
 一方、ポンペイウスの娘でカエサルへの復しゅうを誓うポンペイア(華優希)とは、魂で通じ合う関係に。本公演で退団が決まっている華との絆を感じさせる。
 同じく退団する瀬戸のアントニウスは、オクタヴィウスの姉と婚約していながらエジプトのクレオパトラのもとへ走り、ローマ軍と戦うことに。花組一筋、男役の神髄を見せた。
 登場人物が複雑に絡み合う重厚な歴史ドラマを、それぞれの個性で豊かに彩っていた。
 レビュー「Cool Beast!!」は一転、ラテンのリズムに乗せ、はじけんばかりの熱気と高揚感で息もつかせない。
 野獣となった柚香がここでも、手足の長さを生かした大きな踊りで存在感を発揮。念願だったというはだしでのダンスは華とのデュエット。伸びやかで柔らかな動きが美しい。
 アフリカのそれを思わせるプリントや金ラメなどの衣装の派手さも相まって「これでもか」とばかりにたたみかけてくる。コロナ禍があり、花組としては約1年半ぶりの本格的なレビューを、心から楽しんでいるように見えた。
 終盤、感謝のメッセージをのせた瀬戸の歌、体の線を出す中性的な衣装に身を包んだ柚香とのデュエットダンスなど、サヨナラ公演にふさわしい演出もあった。
 コロナ禍以降、本公演からオーケストラによる生演奏が復活。ライブの魅力が甦った。トップ就任後、これが本拠地2作目の柚香が、その才能を存分に発揮。花組の層の厚さも示した。

(2021年4月2日神戸新聞ネクストより)

この公演も、史実を基にした肉厚なミュージカルに対し、レビューはあふれ出るパワーを感じさせてくれる内容でした。

ジャングルを舞台に、これでもかこれでもかとたたみかけてくるような歌と踊りの連続。衣装やメークも特徴的で、おそらく宝塚史上初(?)のドレッドヘアーも印象的でした。

宝塚と言えば、一つの大きな物語の中ですべてを見せる舞台もあります。
その代表が「ベルサイユのばら」や「エリザベート」で、これまでに何度も再演を重ねています。

それらと並ぶ看板演目になっていくだろうと思わせるのが次に紹介する星組の「ロミオとジュリエット」。言わずと知れた、あの悲恋の物語をフランスでミュージカル化、それを演出家の小池修一郎が宝塚向けに潤色・演出しました。今回が宝塚では4回目、トップコンビ2作目となる礼真琴と舞空瞳を中心に、抜群の表現力を発揮しました。

古今東西、時代を経てこれまでも世界各国で舞台化されてきました。
今回はシェイクスピアによる原作という屋台骨があり、フランス版ミュージカルも大ヒット、それを高い潜在能力の宝塚が演じるという、いくつもの「成功の要素」が重なったお手本のような舞台。結末まですべて知っているのにこんなにどきどきして感動するのは、演じる生身の人間の力によるところが大きいでしょう。

宝塚歌劇・星組公演
ロミオとジュリエット
トップ2人 圧巻のダンス
ドラマチックに紡ぐ愛の物語

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星組トップの礼真琴
 宝塚歌劇団星組公演「ロミオとジュリエット」が宝塚大劇場(宝塚市)で上演されている。礼真琴(れいまこと)と舞空瞳(まいそらひとみ)のトップコンビ2作目。才能あふれる2人を中心に、現代性を感じさせる演出も加え、言わずと知れた愛の物語を紡ぐ。
 シェークスピアの原作を2001年に仏作曲家ジェラール・プレスギュルヴィックがミュージカル化した作品。宝塚では10年、小池修一郎の潤色・演出で星組が初演。以降、11年雪組、12年月組、13年星組と再演を重ねてきた。
 イタリア・ヴェローナを舞台に、敵対関係にある名門、モンタギュー家のロミオ(礼)とキャピュレット家のジュリエット(舞空)が出会い、恋に落ちる。ロミオの親友、ベンヴォーリオとマーキューシオ、ひそかにジュリエットに思いを寄せるいとこのティボルトも交え、群像劇が繰り広げられる。
 礼のロミオは繊細でナイーブ。少年の初々しさを残しつつ、ひたむきにジュリエットへの愛を表現する。一方、舞空のジュリエットは心(しん)の強さが光る。ロミオの愛をただ待つ受け身の少女ではなく、自分の意志を持つ女性の魅力を放つ。
 ダンスのみで物語の成り行きを見守る登場人物「死」に、宝塚版独自の「愛」を加え、葛藤を複層的に見せる。礼の抜群の身体能力に注目していた小池は初演時、「愛」役に礼を抜てき。「将来の宝塚を担っていく逸材だと感じていた」と振り返る。
 礼は8年前の新人公演でロミオを演じ、好評を博した。今回、同じくダンス能力の高い舞空というパートナーを得て、満を持し、トップとして星組を引っ張る。終盤、フラメンコ風の音楽に合わせたデュエットダンスは2人にしかできない難度の高さで圧巻だ。
 仏語で「愛する」を意味する「エメ」、ロミオの繊細さを表す「僕は怖い」、ティボルトのジュリエットへの思慕「今日こそその日」など、ドラマチックで美しい楽曲が全編に流れる。ロミオとジュリエットが出会う仮面舞踏会や街での抗争場面など、複雑なフォーメーションで繰り広げられる群舞も飽きさせない。現代的なテイストのジャケットなど、衣装も新鮮だ。
 誰もが成り行きを知る悲恋物語の「あの場面をどう見せてくれるのか」、確かめながら見る楽しみも。男女の愛、仲間との友情、子を思う親心…、人を思うさまざまな愛の形が描かれる。作品を通して浮かび上がる「いかに人を愛するか」という普遍的なテーマは、コロナ禍で疲れた今、多くの人の心に染み入るだろう。

  (2021年2月26日夕刊より)

長いインターバルをはさんでの宝塚取材。この間、ほかの芝居や映画などもたくさん見た上で、「宝塚ってやっぱりすごい」と実感しています。

仕事を離れてもたぶん、見続けていくことになると思います。

<森くま>
1992年入社。学生時代、映画の現場を手伝った経験などから今も映画にはなみなみならぬ思い入れを持っています。表現者の取材も楽しいけれど、生まれ変わったら、自ら何かを生み出す人になりたい!と常々、思っています。

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